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〈09総選挙 やまなし〉マニフェストを問う:5 年金

2009年8月9日

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 「将来の安心につながる貯金と思えばいいんだ」

 昭和町の携帯電話販売会社に勤める男性会社員(28)。給与明細で毎月2万円天引きされる年金保険料を見ては、そう自分に言い聞かせる。とはいえ、年金が老後の生活を保障してくれるのか、漠然とした不安はぬぐえない。

 「消えた年金記録」など、相次ぐ不祥事で国民の信頼が揺らいでいる年金制度。ずさんな運営実態はもとより、少子高齢化を背景とした持続可能性への疑念や、現役時代の「働き方」に応じて制度が分立していることに由来する不公平感など、構造的な問題が山積みだ。

 主要各党は、マニフェスト(政権公約)で改善策を出し合っている。現行制度の枠組みを維持しながら、「無年金」「低年金」への対応策を約束する自民・公明両党。対する民主党は、制度を根本から作りかえ、全国民が共通に加入する新しい年金制度の創設を目指す。

 サラリーマンが加入する厚生年金に入っている先の会社員は、民主党が掲げる「全制度の一元化」に疑問がある、と言う。自営業者が加入する国民年金と一緒になるのは、深刻な未納・未加入問題を抱える国民年金を救済するため、と思えてならないからだ。「職業は各自が自分の意志で選んだはず。(働き方とセットの)年金制度も当然、自己責任。一緒にするなんて虫が良すぎる」

 一方、国民年金に加入する個人事業主にとっても、民主党の抜本改革案は、期待と不安の両面をかきたてられるようだ。

 甲斐市内でバイク部品の製造加工を手がける自営業の男性(37)は「何となく良さそうに聞こえるが、逆に重荷になるかもしれない」とみる。

 今の国民年金は、保険料が月額1万5千円弱で、受け取る年金は月約6万6千円。所得比例の年金に最低保障年金を組み合わせるという民主党案によると、将来受け取る年金額は増えそうに思える。しかし一方、収入に応じて支払うことになる保険料負担は増えるかもしれない。

 親から独立して1年半。毎月の売り上げは70、80万円のこともあれば、20万円を割り込むこともある。保険料はどれだけになるのか、「マニフェスト」を読んでも分からない。

 「年金保険料にしても税金にしても、親の世代を養うために払っているという自負がある。僕たちの世代はもらえない、なんていうことが起きないようにしてほしい」

 来る総選挙。男性はその思いを一票に託す。

 (床並浩一、高野裕介、岡戸佑樹)

●継続か抜本改革か 自民と民主、違い大きく

 「消えた年金」問題の解決に向け、集中的な取り組みを約束する点では、与野党のマニフェストに大きな差はない。焦点は、年金制度の将来像をどう描くかだ。

 現行の公的年金が抱える構造的な問題点は、(1)世代間の不平等(2)制度の分立に伴う制度間の不公平感(3)未納・未加入による低年金・無年金者の発生、などが挙げられる。

 公的年金が貯金とは異なり、現役世代の保険料で高齢者の年金をまかなう「世代間の仕送り」の形をとっている以上、少子高齢化が進めば(1)の問題は拡大する。この点、自民・公明両党は、04年度の年金改革で支給水準を抑制する仕組みを導入したことで、対策は講じたという立場だ。

 一方(2)について両党は、様々な優遇措置が目立つ公務員共済を、サラリーマンの厚生年金と統合する「被用者年金の一元化」を提唱する。ただ、根本から制度が異なる国民年金も含めた統合には触れていない。(3)は「低年金者への加算年金などの創設」「年金受給資格を得るまでの加入期間の短縮」(公明)、「低年金対策で3年以内の具体的措置」(自民)をうたう。

 これに対し、民主党は「公平で分かりやすい制度をつくる」と、抜本改革案を掲げた。

 職業に関係なく収入に応じて保険料を払う「所得比例年金」によって制度間の不公平感を解消する。これは同時に転職時の面倒な手続きが不要となるので「年金の未納」が減り、併せて月額7万円程度の「最低保障年金」を新設して低年金者の問題にも応える。最低保障年金の財源には消費税をあてるので、年金受給世代も「支える側」に回ることになり、(1)の改善にもつながる、という仕掛けだ。

 ただ、極めて大規模な制度変更となるため、「法改正は4年後」とするものの、新制度への移行時期はマニフェストに記載がない。最低保障年金を受け取れる「低年金」はどの程度の額を指すのかなど、具体的な姿も不明だ。

 他の野党も、制度設計の詳細は明らかでないが、それぞれ最低保障年金の創設を掲げている。(吉田晋)

 =完

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