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〈09総選挙 やまなし〉三位一体改革の見直し望む 県内の5首長アンケート

2009年8月14日

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 18日に公示される総選挙の争点の一つとして「地方自治」「国と地方自治体の関係」が注目されている。小泉政権の三位一体改革、公務員の定数削減、「平成の大合併」、公共事業の直轄負担金制度について、立候補予定者はどう考えるのか、県内の5首長は何を望むか、それぞれ聞いてみた。

◇分権推進へ税源移譲強調

 首長はどんな地方分権を求めているのか――。

 北杜市の白倉政司市長は「税源移譲」を強調する。「分権が進んでも、それには財源の裏打ちがなければならないから」だ。一方で、地方分権がもたらすものとして、「地域間競争が激しくなり、結果として地域間格差が生じてくるだろう」とみる。そのうえで政府の役割として、「地域でできない部分」を挙げる。

 甲府市の宮島雅展市長も「税源移譲」派だ。「市長会としては税源配分5対5を訴えている。地方が自主自立するためには、その事務事業に見合う税財源の移譲が必要。それさえやれば、首長から文句は出てこないはず」と話す。

 増穂町の志村学町長は「権限と財源の移譲」を挙げる。「ただし、小さな市町村は分権を担うための努力が必要」とし、自治体側の課題も付け加えた。「様々な仕事が移譲されれば、それに対応できるだけの能力を持たなければならない」という。

 大月市の石井由己雄市長は「どこまで分権をするか、あいまい」と答える。「中途半端な状態では、お互い理解できない。権限を移譲するなら、財源も合わせてやって欲しい」と訴える。

 富士吉田市の堀内茂市長は「何をおいてもお金の問題。自由財源、これ一点」と答えた。

◇各政党の公約に厳しい視線 「選挙目当て」「借金先送り」

 甲府市の宮島市長は「今のマニフェストは非常に抽象的」とみている。「表現は違うが、各党とも地方分権を推進しようとしている。ただ、適切な住民サービスを確実に実行できる財源確保の方法を明示して欲しい」と希望する。

 大月市の石井市長は「各党とも選挙目当てのマニフェスト」とみている。「日本の財政をはっきりつかんでいるのか、疑問に思う。借金を先送りするだけ」だからだ。

 北杜市の白倉市長は「詳しく読んでいないので評論できる立場にはない」と断ったうえで、「各党に共通していえるのは、受益者負担の原則を崩したマニフェストは、いかがなものかと思う」という。「国のかじ取りを担う者は、収入と支出のバランスを考えなければならない。それなのに財源の問題が落ちており、使う議論ばかりだ。何年から消費税を上げるのか、本当に教育費は無料にできるのか……」と疑問を呈した。

 増穂町の志村町長は「自民党は、一定の枠の中で使える現行の(国からの)交付金を、手厚くすると書いている。これはこれでありがたいが、民主党が掲げる『一括交付金』の考え方のほうが歓迎できる」という。理由として「地方自治体が自ら事業に優先順位をつけて使うことができるからだ。ただし、総額が減らされないことが大前提」と回答した。

 富士吉田市の堀内市長は「民主党しか見ていない」と話している。

◇「受け良いものてんこ盛り」「判断ポイントは姿勢や心」

 マニフェストに対して、こんな懸念もある。富士吉田市の堀内市長は、「マニフェストには高齢者に対して、これからこうして安心させます、という項目が並んでいる。私が一番心配しているのは、そういう人が集票能力や大きな票を持っているがゆえに、これから生まれてくる人や若い人の声が無視されてしまうのではないかという点だ」という。「受けの良いものが、てんこ盛りだ。辛口でもいい。苦くてもいい。目先のパンを食うよりも、これからのパンをいかに作るか。そういうマニフェストを出して欲しかった」と話す。

 一方、北杜市の白倉市長は「有権者が判断すべきは、政治家の政治姿勢やハート、汗と実績、義理人情。その次くらいにくるのがマニフェストではないか」と考えている。

■地方と国の関係、首長はどう考える?

【質問12】小泉政権が取り組んだ三位一体改革は、見直す必要があると思いますか。

 (1)見直すべきだ (2)見直す必要はない (3)どちらともいえない

   *

○甲府市・宮島雅展市長

 (1)財源移譲ができていない。04年度から2年間で50億円も収入が落ち込んだ。権限移譲、地方の自立という理念通りにいかず、自治体格差が広がった

○富士吉田市・堀内茂市長

 (1)基本的には三位一体改革は賛成だ。「小さな政府」はやるべきだ。ただし、財源移譲が伴わず、体力のある自治体、ない自治体の格差拡大が加速した

○大月市・石井由己雄市長

 (1)財源が移譲されていない。国と地方の権限が不明確

○北杜市・白倉政司市長

 (1)8割は税源移譲してやるから、2割は自分で考えろというのが改革の特徴。分母が小さな市町村は8割税源移譲してもらっても分子が大きくならなかった

○増穂町・志村学町長

 (1)小泉政権の三位一体改革は税源移譲を伴わなかった。今度はきちんと税源と権限を移譲するかたちで、地方分権を進めてもらいたい

【質問13】自治体は今、財政の健全化や将来の人口減に対応したスリムな行政組織を目指して定数削減に取り組んでいます。公務員の定数削減政策は、維持すべきだと思いますか、見直すべきだと思いますか。

 (1)維持すべきだ (2)見直すべきだ (3)どちらともいえない

   *

○甲府市・宮島雅展市長

 (3)ただ減らせばいいという発想は、きめ細かいサービスができなくなるし、行政サービスの低下につながる

○富士吉田市・堀内茂市長

 (1)少ない人数でいかに効率よくやるか。この原点をもっと真剣に考えていけば必ず解決策はある。外部委託とか、いろいろな形で考えていく時代だ

○大月市・石井由己雄市長

 (1)少子高齢化で税収も落ち込んでおり、行政の効率化を進めることが必要

○北杜市・白倉政司市長

 (3)公務員だけでなく、国会議員の定数も含め、全体で議論すべきだ。市町村職員数は限界まで減らしたというのが私の実感。北杜市は約80人減らした

○増穂町・志村学町長

 (3)国家公務員の定数削減は遅れているので、まだまだ効率化は必要だろう。地方自治体はすでに職員数はギリギリのところにまで削減してきている。増穂町も1割減らした

【質問14】「平成の大合併」について、政府の地方制度調査会が打ち切りを答申しました。国主導の「平成の大合併」を評価しますか。

 (1)評価する (2)評価しない (3)どちらともいえない

   *

○甲府市・宮島雅展市長

 (1)合併を契機に改めて財政のあり方を考えるきっかけになったし、自分たちの町は自分たちで携えていく自治の強化にもつながった

○富士吉田市・堀内茂市長

 (3)理論的には大賛成。しかし、合併特例債というアメを与えたことで、合併に無理が生じたのも事実

○大月市・石井由己雄市長

 (3)地域によって評価されるところもあるが、評価できないところもあり、実情が異なる。ひとくくりで合併を議論すべきでない

○北杜市・白倉政司市長

 (1)さらなる合併の必要性は感じる。これからの行政には、霞が関に事業を提案できるようなプロフェッショナルな職員が必要だ。公共施設の重なる部分も整理できる

○増穂町・志村学町長

 (1)基礎的自治体の能力を高め、分権を担うためにも合併は必要。国主導の「強制的な合併」は打ち切っても、自主的合併を支援する制度、現行法の特例措置は残すべきだ

【質問19】国の直轄負担金制度について、どのように考えますか。この制度を改善するとしたら、どのように改善したらいいと思いますか。

 (1)建設費、管理・維持費ともに制度は必要 (2)建設費のみ制度は必要 (3)管理・維持費のみ制度は必要 (4)制度は廃止すべきだ (5)どちらともいえない    *

○甲府市・宮島雅展市長

 (4)甲府市ではやっていないので分からないが、廃止すべきだ。国が必要な施設は国が全額負担すべきだ。現状は非常に不明瞭(ふめいりょう)

○富士吉田市・堀内茂市長

 (2)地方はいまだインフラ整備が不十分。そのためには受益者負担も必要

○大月市・石井由己雄市長

 (5)国が直接やるものと、地方でやるものの境界が不明確

○北杜市・白倉政司市長

 (2)直轄方式が事業のスピードを早めたことは確かだ。受益者負担の原則からすれば、カネを出したくないという地方の言い分は調子が良すぎると思う

○増穂町・志村学町長

 (2)直轄負担金を全部なくした場合、必要なところに(道路が)造れるのかという不安はある。必要なところは地方がお願いして、その代わり負担してもいいのかなと思う

 ※衆議院議員選挙の立候補予定者に行ったアンケートの地方と国の関係に関連する四つの質問のみ、県内の5首長に答えてもらった。一覧表は、回答から一部抜粋

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