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〈09総選挙〉山間部道路、論争熱く 4区深刻、生活に直結

2009年8月15日

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 広大な山間部を抱える衆院奈良4区。五條市や吉野郡は、大都会からのアクセスも悪いうえ、曲がりくねった道は、土砂崩れが頻発してしばしば通行止めになる。過疎に悩むこの地域では生活への影響も深刻。選挙戦では、道路行政のあり方も大きな論点になりそうだ。

 (神野武美)

 7月6日に五條市で開かれた「新金剛トンネル推進協議会」の設立総会。吉野晴夫・五條市長らが出席するなか、自民前職の田野瀬良太郎氏は「新金剛トンネルは、私が五條市議の頃からの夢だった。ところが、水越トンネルが、御所市と大阪府の間に開通してお茶を濁されたと思っていた。でも、吉野さん(市長)らにハッパをかけられ、私は国交省に直談判し、調査費をつけてもらった」と、自慢げにあいさつした。新金剛トンネルは、五條市と大阪府を結ぶ延長約11キロの「夢の道」だ。

 6月21日に上北山村では、国の直轄事業による和佐又トンネルの起工式があった。田野瀬氏や、前田武志氏ら民主党参院議員3人もくわを入れた。郡内を南北に貫く国道168号、同169号は重要な生活道路で「命の道」と呼ばれる。一方で、土砂崩れが頻発し、通るだけで「命がけ」でもある。通行止めになると、回り道が無いため、病院通いや通勤、観光に大きな打撃になる。

 このため地元は、道路にまつわる政治家の発言には敏感だ。民主党は公共事業のムダ減らしを掲げ、民主前職の馬淵澄夫氏は2月4日の衆院予算委で、費用対効果(B/C)の事業評価を試算して「国道168号十津川道路」を含む「見直しを求める56事業」を取り上げて政府を追及した。

 すると、五條市長や吉野郡の町村長が連名で、「『費用対効果の上がらない道路整備は早急に中止すべきだ』と言わんばかりの発言は大変残念」と馬淵氏に抗議。更谷慈禧・十津川村長は「大都会中心の道路整備からようやく私たちの番になったと思ったら、『ムダな道路』と言われて黙っておれない。立派な道路は要らないが、安全な生活道路がほしい」と訴える。

 民主から4区に立つ新顔の大西孝典氏は「B/Cによる道路計画の見直しは政府の方針、閣議決定だ。馬淵発言は、族議員と国交省がそれに反し、恣意的(しいてき)に事業を決めていることを批判したものだ。『命の道』の整備の重要性は高速道路などとは次元が違う話だ」と説明する。

 国交省近畿地方整備局によると、B/Cの効果(B)とは、道路建設による「時間短縮」「走行経費削減」「交通事故減少」の3効果を金額に換算したもので、地域医療や観光などへの効果は計算に入らない。「コンサルタントが行う道路網調査の中で、それらは考慮される」という。

 「命の道」の整備促進には田野瀬、大西両氏に異論はないが、新金剛トンネルへの姿勢は対照的だ。田野瀬氏は「できる所からどんどん造るべきだ」とするのに対し、大西氏は「『命の道』と比べて新金剛トンネルの優先順位は低い」と言う。

 近畿地方整備局は7月末、新金剛トンネルの調査をコンサルタントに発注することを発表した。だが、予算に計上された調査費の金額も、調査費を付けた経緯も明らかにしない。「途中の資料は残さない。調査だけで1千件以上と量が膨大なので、残すと混乱する」としている。

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