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〈あすを選ぶ 09衆院選〉自民牙城に民主の熱気 政権交代期待

2009年8月15日

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 鳥羽市の佐田浜港から市営定期船で約20分、人口2678人の答志島が見えてきた。

 8日、県議会最大会派で民主党系の「新政みえ」の議員とともに、三重5区の新顔藤田大助氏は初めてこの島を訪れた。

 「集会を開けるだけでもすごい。参加者が2、3人でも成功だよ」と萩野虔一県議は会場に向かった。主に漁業で暮らす島は自民党の牙城(がじょう)だ。

 だが、萩野氏は集まってくる人の数に目を疑った。40〜50代の現役世代を含めて約100人。冷房のない会場が熱気に包まれた。藤田氏は「新しい政治を作るために政権交代が必要です」と訴えた。

 自民党を支持してきた主婦(70)は「税金を国民のために使ってほしい。今回は民主党に投票する」。男性(80)も「(民主党は)約束を守ってくれそう」ときっぱり。

 5区の民主党は、小選挙区制で実施された4回とも自民党や自民党系候補に敗れ、唯一、00年は比例で復活。「県内5選挙区全勝」をめざす県連は最重点区と位置づける。藤田氏も「県議のみなさんががんばってくれたおかげ」とに手応えを口にした。

 「異変」はほかの選挙区でも起きている。

 1区の前職中井洽氏は、自民党が強い農村部で1年数カ月、ミニ集会を重ねてきた。

 6月7日夜、津市の農村部の公民館に、暗がりの中から男性が1人、2人と目を合わさずに入ってきた。お互いの姿を認めると「ちょっとビラが入っていたものだから」とごまかすように笑った。

 畳に座った中井氏が「定額給付金は愚の骨頂。あんな馬鹿なことをやっているのが自民党」と批判すると、集まった3人は深くうなずいた。50代の男性はこう激励した。「今日は来たくても来られなかった人もいる。政権交代がんばってください」

 後援会関係者は「郡部では、周りの目があって表だって動けない『隠れ民主』が意外と多い」とささやいた。

 小沢一郎前代表の側近で、当選10回の中井氏は、自民党を大勝に導いた05年の衆院選の「郵政風」とは違うと断言する。車中から声がかかり、応援のクラクションが鳴る。昨年から党員サポーターは約400人増えた。集会でマニフェストを配ればたちまちなくなる。「日本を何とかしないと、という根底からの思いを感じます」

●財源論が不安の種

 県内では90年代前半、実力派の自民党若手衆院議員だった岡田克也氏や北川正恭・前知事、野呂昭彦知事が相次いで離党。「三重県方式」と呼ばれる連合三重と県議会最大会派の新政みえとの連携で、北勢地方を中心に地盤を強化してきた。

 支持率が80%を超えた小泉ブーム絶頂の01年参院選でも、1人区で非自民系候補が当選したのは、小沢氏の地元岩手県と三重県だけだったのはその象徴とも言える。

 与野党逆転を実現した07年参院選では、民主党県連代表の高橋千秋氏が、三重選挙区で過去最多の52万7935票で圧勝。県連幹部は「この頃、自民支持だった団体の名簿がどっさり送られてきた」と明かす。県連が毎年開く団体懇談会には、自民支持だった団体が集まり出した。

 03年、05年の衆院選は小選挙区で2勝どまりだったが、今回は、かつては自民党の最大の集票組織だった特定郵便局長OBらの「大樹」を母体にした郵政政策研究会が全面支援。さらに、共産党が2区以外に候補者を擁立しないため、票の上積みは確実だ。

 だが、逆風の自民党も、子ども手当や高速道路無料化、消費税を4年間上げないとする民主党の主要政策への批判を強めている。民主党側は「予算の組み替えなどで財源を捻出(ねんしゅつ)する」と繰り返すが、こうした財源論で世論の支持を失えば勢いに水をさす可能性もある。

 さらに、ある労組関係者は「政権交代後」を見据えてこう漏らした。「マニフェストで期待されている施策が実行できなかったら、我々はどうなるんだろう」

 高橋代表は「帆がないと、風を受けられない時もある。まずは風を受けられる態勢づくりが重要だ」と各陣営にはっぱをかける。

 (藤崎麻里、姫野直行)

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