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〈09総選挙〉定職求む、切実 52歳「自力では抜け出せない」

2009年8月15日

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 強烈な日差しの下、大鍋でカレーがぐつぐつと煮える。川越駅に近い広場で7月19日、川越民主商工会などのボランティアによる生活相談会が開かれ、炊き出しもあった。いわば川越版派遣村だ。

 元派遣社員の男性(45)は、炊き出しのカレーライスをほおばり、政治への不満をぶちまけた。

 「小泉首相が郵政民営化で日本が良くなると言っていたのに、政治家はどうしちゃったのか。生活と仕事の現場をよく知ってほしい」

 男性は昨年11月、他の30人余りとともに群馬県の自動車部品工場を解雇されたという。友人がいる川越市へ移動。漫画喫茶に泊まりながら職安に通った。会社の面接を何度も受けたが断られ、貯金がほとんど底をついたという。相談会では「まず生活保護を申請し、家を借りた上で就職活動の再開を」と助言を受けた。

 だが、生活保護の申請も簡単ではない。相談会の主催者によると、同市の居住者だけが市で生活保護を申請できるが、市内のNPOの無料低額宿泊所は常に満室。相談に来た約40人のうち申請希望者8人をビジネスホテルなどに泊まらせ申請を支えたという。

 県内に三十数カ所ある無料低額宿泊所のうち15を運営する団体の職員は「部屋が空くまで1カ月以上待つこともある」。再起への拠点の確保が難題だ。

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 再就職はさらに難しい。

 NPO法人ほっとポット(事務局・さいたま市)が市内で借りた一軒家で、失業中の5人が暮らす。生活保護を受けている元会社員の男性(52)は、4月から県立の高等技術専門校に週5日通い、中高年の求人が多いというビル管理者の職業訓練を受ける。電気工事士の資格を取るため、2時間の模擬試験を1日3本こなすことも。すでにボイラー技士や危険物取扱者も独学で取った。

 大手住宅メーカーの子会社の課長だったが、98年、別会社への合併を機に約600万円の年収が3割以上減った。転職を2度試みるが失敗。息子2人の教育ローンを返せず、消費者金融の借金が膨らんだ。03年離婚、翌年に自己破産。家賃が払えず県内のネットカフェなどに寝泊まりし、派遣会社の日雇い仕事で食いつないだという。

 「もう自力では抜け出せない」。07年末にホームレス向けの生活相談会で、ほっとポットを知った。

 職業訓練は9月まで。もうすぐ求職活動を始めるつもりだ。だが、県内の有効求人倍率(季節調整値)は低迷を続け、6月は過去最低の0.35倍だった。「苦戦は覚悟。でもきっと資格が味方になってくれるはず」

 国は「緊急雇用創出事業」で、08年度補正の1500億円に続き、今年度の補正予算で倍の3千億円を追加。県も同事業でネット監視やブラックバスの駆除、作業所の営業職などの受け皿を作り出している。だが、同事業は半年未満の短期雇用を増やすのが目的だ。常用雇用への道は、短期雇用の間に自力で見つけなければならない。

 男性は今、政治の大きな変化は望んでいないという。「政権交代は必要だと思う。でも雇用が危機的な今でなくても」と考えるからだ。

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 ほっとポットの藤田孝典代表理事(27)によると、再就職に向け具体的な希望を持てる人は多くない。「失業などで生活に困ったら生活保護を受けてどんな仕事に向くかを考え、積極的に職業訓練を受けられる体制が必要。再び定職に就きやすい環境を社会が作るべきだ」と訴える。

 東京・日比谷の派遣村の運営にかかわった川越市在住の笹森清・前連合会長は語る。「派遣村は仕事を失う悲惨さを大々的に見せて『政治も出てこい』と政治家を動かした。次の政権は就業支援でどう実効を上げるかが課題だ」

 (平林大輔、村野英一)

●北川辺高生、投票所で受付事務 30日、14人「勤務」 「関心持って」町が募集

 北川辺町の北川辺高校の生徒が、30日に投開票される総選挙で投票所の事務を体験する。投票率向上のため、早い時期から選挙への関心を高めてもらおうと町が企画した。町選管は、高校生が投票所事務に従事するのは県内で初めてではないかとしている。

 町が6月下旬、同校の生徒を対象に募集したところ、14人が応募。当日は町臨時職員として採用され、各投票所で町職員と一緒に受付事務を担当する。同校は栗橋高校と再編されるため今年度で閉校となる。現在、81人が最後の生徒として学んでいる。町は高校時代の思い出にもしてもらいたいとしている。

■主要政党が政権公約などで掲げる主な雇用政策(要約)

【自民党】雇用調整助成金制度で雇用維持。緊急雇用創出事業で医療、介護、保育など成長分野の雇用創出。ハローワークを中心に失業者再就職に全力。日雇い派遣の原則禁止など労働者派遣法改正

【民主党】新たな専門職制度を設け製造現場への派遣を原則禁止。職業訓練期間中に月額最大10万円の手当を支給する求職者支援制度創設。医療・介護の処遇改善などで魅力と成長力を高め雇用を創出

【公明党】労働者派遣制度の抜本的な見直し。再就職支援付き住宅手当の拡充。雇用保険や失業給付対象外の人への訓練・生活支援給付の恒久化

【共産党】製造業への派遣禁止、登録型派遣も原則禁止。最低賃金を時給1千円以上へ引き上げ。失業給付期間を現在より90〜210日程度延長

【社民党】最低賃金を1千円以上へ。日雇い・登録型・製造業派遣を原則禁止。職業訓練期間の生活保障を法制化、月10万円を支給

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