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〈09総選挙〉子育て、給付偏重に不安 母親ら「お金だけでは」

2009年8月18日

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 「子ども手当とか幼児教育無料と言うけど、財源はあるの?」「おむつ代ですぐ消えるよね」

 8月のある日、和光市の住宅街にある民家「もくれんハウス」に集まった赤ちゃん連れの母親たちの間で各党のマニフェストが話題になった。

 もくれんハウスは、育児の負担感の解消のため厚生労働省が02年から設置を進める「つどいの広場」だ。乳幼児を連れた親が気軽に立ち寄れ、情報交換や悩み相談などができる。全国約1100カ所、県内には90カ所ある。

 もくれんハウスは市の委託を受けたNPO法人「わこう子育てネットワーク」が運営する。スタッフは先輩ママや保育士ら。1日約15組の親子が利用する。

 団地で暮らす生田英理さん(31)は7カ月の娘と一緒に、20分近く歩いて通う。日中2人きりで家にこもりたくないと、他の母親と知り合える場を探していた。「いろんなお母さんの悩みを聞くだけでも気が楽になります」

     ■

 さいたま市の「さいたま子育て応援隊」は6年前、市民団体企画の母親サークルリーダー交流会に参加した有志約10人が立ち上げた。市内で2人の子どもを育てる中嶌絵利子さん(39)もその一人だ。

 夫の転勤で証券会社を辞めてさいたまに来た「市の育児ママの典型」(中嶌さん)。見知らぬ土地での初めての子育ては楽しいと思えず、いつも逃げ出したかった。社会的な支援さえ分からなかった。

 交流会で同席した母親に圧倒された。他のサークルとネットワークを持ち情報も豊富。同じ育児ママなのに輝いて見えた。自分もそうなりたいと、応援隊に参加した。

 最初に取り組んだのは市内の子育てサークルガイド作り。同じように支援に気づかず悩む母親向けに、2千部作り公民館や病院に配った。昨年は市の委託で各区の「子育てマップ」を作った。

 4年前には、市の声かけで交流イベント「子育てフェスタ」を企画。予算5万円ほどの手作りの催しだったが、いきなり500人が集まった。翌年から予算が増え、規模も大きくなった。中嶌さんは「声が発信でき、社会とつながることで不安が充実感に変わっていった」と話す。

 越谷市の母親サークル「たんぽぽクラブ」でも4年前、子育てマップ作りを機に、育児情報の発信を始めた。子ども連れで楽しく遊べる場所の地図をと思っていたが、取材するうちに危険な場所にも目がいくように。「その場限りの情報でなく、みんなに知ってもらいたい」と、見通しの良さや柵(さく)の有無を書き、理想の公園の提言を盛り込んだ。

 2年前からメンバーの母親が、市の子育て支援ネットワーク事業に参加する。「最初はみんな自分の育児が不安で来ている」と、サークルを支えるNPO法人「子育てサポーター・チャオ」の近澤恵美子代表。「この会では3人目を生む人が多い。安心と自信を得るからでしょうか」

     ■

 母親らを支えているのは、ボランティアを中心としたNPO法人だ。今回、各党の政権公約に、わこう子育てネットの森田圭子代表理事は「直接給付が中心の印象。お金も大事だが、それだけではない」と話す。直接給付に予算配分され、支援活動の予算が減るのではと心配する。

 同ネットは広場に来られない乳幼児宅へのボランティアの訪問に取り組む予定だ。国の保健師による訪問事業のすき間を埋め、虐待予防も期待できるという。「行政より少額で済む。でも予防は成果を数値化できず行政で分かってくれる人は少ない」と嘆く。

 経済評論家の勝間和代さんら民間団体や企業、行政関係者らでつくる「にっぽん子育て応援団」は、各党に「子ども・子育て支援関係の予算を国内総生産(GDP)の3%に」「発想の転換による子育て支援の社会基盤の充実」など5項目を提言した。

 チャオの元代表で応援団事務局の雲雀信子さんは「これまでと違い、子育て政策の優先度が高い」と驚く。ただ、現物や現金など直接給付が目立つと指摘。チャオの育休中の母親調査では情報の少なさが不安感につながっていた。「経済的に余裕があっても不安がある。育児に必要なのが何か、現場の声をくみとってほしい」(帯金真弓)

■主要政党が掲げる主な子育て政策(要約)

 【自民党】3〜5歳児の幼稚園・保育園の負担を3年目から無償化。保育サービスの集中整備。ひとり親家庭などへの支援の拡充

 【民主党】中学卒業まで1人月2万6千円の「子ども手当」。出産時55万円までの一時金。生活保護の母子加算復活。空き教室利用で保育所。

 【公明党】幼児教育の無償化。児童手当を中学3年まで引き上げ。保育所などの機能強化。出産一時金拡充

 【共産党】子どもの医療費無料化、児童手当月1万円。生活保護の母子加算の復活。保育サービスの拡充

 【社民党】待機児解消に緊急策。子どもの医療費無料化と月1万円支給。生活保護の母子加算復活。子ども家族庁創設

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