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〈どっちさいぐ 09政権選択〉農家のさけび 疲弊する人びと

2009年8月20日

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◇政策に決め手なく 後継者なく集落崩壊懸念

 いよいよスタートした総選挙。県内でも各区で候補者たちが熱い舌戦を繰り広げている。争点の一つが農業政策だが、その訴えは農家の人々に届いているのだろうか。

(斉藤寛子)

 畑一面に大玉がゴロリと実る。横手市の男性(55)宅では今、スイカの収穫が真っ盛りだ。雨が多い今夏、成長が気がかりでならない。隣には田んぼ。代々続く稲作農家だったが、減反政策で、3.3ヘクタールのうち、1ヘクタールにスイカや野菜を植えている。「減反は仕方ないが、稲作が盛んな地域とそうでない地域が全国一律というのは疑問だ」と話す。

 この4年間、収益は一向に上がらない。米価の下落をスイカの売り上げでカバーしてきたが、設備投資の借金返済もあり、経営は厳しくなるばかり。長男(25)は団体職員。「頑張れば高値で売れるのが農業の魅力だった。今は収入が安定しない。息子に継げとは言えない」と漏らす。周りの農家にも後継者がいない。このままでは集落全体が崩壊しかねないと懸念する。

 JA秋田おばこの加藤孝明・米穀課長は、原油高による飼料高騰や作物価格の下落で農家は疲弊していると話す。「農家が不安を募らせているのは、政治家たちが農業を単純に産業だと考えているのか、国策として残そうとしているのか、政策から見えてこないからではないか」。最近は、日米FTA(自由貿易協定)を心配する農家も多い。

 JA全農あきたによると、県内の主要銘柄「あきたこまち」の取引額は1俵(60キロ)あたり約1万4千円(08年度)。2万円台前半で取引されていた約15年前から年々下落を続けている。生産調整(減反)対策などで作られている加工用米は約8400円、米粉用米は約4800円。JAでは、次年度の生産につなげるためには1万2千円以上が必要だといい、米農家にとっては厳しい現状が続いている。

 こうした危機に対応しようと、各党がマニフェストに農業政策を盛り込む。自民党は農協など従来組織へ補助金を交付し、間接的に農家の所得を増やそうとする支援策。民主党は、農家に生産費と市場価格の差額を支払う「戸別所得補償制度」を掲げた。

 大仙市で稲作の専業農家を営む男性(57)は、農業政策を注視している。「自民党は長期的なビジョンがない。水田フル活用は聞こえはいいが、米粉の需要はわからず、将来が見えない」。民主党の掲げる戸別補償についても「初めは期待した。でも、『ばらまき』と言われる理由もわかる。FTAも批判を受けて変更したし、政権をとっても自民の批判に耐えられるのか」。どんな選択をしたらいいのかわからないという。

 公示前のある候補者の演説会。米どころの会場で、高齢の男性は「昔は国会議員の先生は田んぼに来て、話を聞いてくれたもんだ」と懐かしんだ。「地元の候補者を応援すれば、生活が良くなるという実感があった。今は、昔のようなつながりがなくなり、政治が遠くなった」

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