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〈どっちさいぐ 09政権選択〉雇用の場、自分で作る 名物案内の会社設立

2009年8月21日

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 今回の衆院選では、県内の多くの候補者が「地域活性化」「雇用確保」を訴える。秋田の完全失業率は全国平均を大きく上回る6.7%。有効求人倍率(6月、季節調整値)は0.29倍で全国最下位クラス。「仕事をしたくても働き場がない」という雇用環境は深刻だ。ならば、会社を興して失業者を雇おう。そんな企業が北秋田市に生まれた。(奈良岡勉)

 北秋田名物株式会社。北秋田市の鷹ノ巣駅前に11日、空き店舗を利用して事務所と観光案内所を開設した。観光など「地域ブランドの総合プロデュース」が業務だ。

 社長の写真店経営野宮幸博さん(40)は、町にかつての活力を取り戻したい、という思いが強い。「商店街は自分で立ち直れないほど追いつめられている。政府の責任も大きいと思う」と憤る。政治に望むことは内需拡大に力を入れること。「輸出産業ばかりに頼っていると海外の影響を受けてしまう。多業種にバランスよく目を向けていれば、こんな不況に陥らなかったのでは」

 ハローワークで求人を出すと、約50人の応募があった。面接を経て7月21日、20歳から40代までの10人の新社員が入社式に臨んだ。

 IT部門の斉藤公一さん(32)は、青森県内のIT会社や金融機関でプログラマーの正社員として働いた後、2年前に首都圏の人材派遣会社5社に登録した。が、4月以降、仕事の紹介がなくなった。どうにか面接までたどり着いても、同業者であふれかえっていた。「国は派遣労働の環境改善をするという掛け声ばかりで実行しなかった」

 総務・経理担当の女性社員(37)。17年以上勤めた老舗(しにせ)木材会社が昨秋、廃業して解雇された。貯金を崩しながらハローワークへ。両親の面倒をみるため、地元を離れるわけにはいかなかった。「失業中、家にいる時間が長く、社会から取り残された気持ちになった」。今は、会社を社員みんなでつくりあげるやりがいがある、という。

 インターネット事業部長の女性社員(38)は、ハローワークで就職相談や求人開拓をする臨時職員だった。相談まで1時間以上待った求職者に「求人ないですよ。がんばって資格を取って待ってて」としか案内できなかった。

 地元にいたいという若者が、働く場がなくて県外へ出ても数カ月後に再びハローワークに顔を出すというケースも見てきた。自身も1年更新の臨時雇用。ひとごとではなかった。「地元企業がうるおい、大きくなることで雇用を増やさないと、働き場は確保できない。そのためにも、この会社が大きくなれば」

 社員の総選挙へのまなざしは真剣だ。「景気回復して企業が元気にならないと雇用確保は無理。今までは自民だったけど、かといって民主にも入れたくない」という意見がある一方、「仕事や家事に追われて候補者の顔ぶれは不明だが、(政権は)変わった方が期待できる」という人も。

 失業は、社会的弱者を経験することでもあった。ある社員は「子どもや高齢者といった弱者を大切にする政策に注目している。政党資料をよく検討したい」と話した。

 <北秋田名物株式会社> 北秋田市内の若手商業者6人が設立。厚生労働省のふるさと雇用再生特別交付金事業を活用し、県に事業計画を申請、同市の委託を受けて営業する。交付金は3年間で計1億3千万円。事業は公益性のあるものとされ、利益を出した場合は国へ返還する。

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