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〈09総選挙@ふくしま マニフェストの現場から:2〉道路 脱「国頼み」

2009年8月21日

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 「政権が代われば、予算がストップするとも言われている。政治は生活の利便性を高めるためなのに、何のための政治か分からない」。20日にあったある候補者の演説会。浜通りの高速道について、地元県議がこう声を上げた。

 全国3番目に広い面積を持つ県内には、道路整備を求める声がまだ多い。相馬商工会議所の荒井宏美会頭(72)は相馬市と福島市を結ぶ東北中央自動車道の完成を待ち望む一人だ。「道路は経済の動脈。中央道が完成しないと、本当の相馬の形にならない」と話す。山形県米沢市を経て、秋田県につながる道。相馬港が東北の貿易拠点になる可能性も花開かせてくれる。

 相馬市から福島市へは約50キロだが、曲がりくねった山越えの国道で、1時間半以上もかかる。コンテナを積む大型トラックが走れる道が完成すれば、米沢市などの工場の製品も相馬港から出荷できる。

 中央道はまだ計画段階だが、一部区間は国道のバイパスとして事業が進む。相馬市側の「阿武隈東」と、3月に採択された伊達市側の「霊山道路」。地元が20年以上続けた要望は、徐々に実ってきた。伊達市議会の滝沢福吉議長(65)は「高齢者が増え、子どもとの同居が減っている。医療活動が遅れないよう、高齢化が進むほど、きちんとした道路が必要だ」と訴える。

    ◇   ◇    

 地域の発展を支え、雇用も生んだ道路整備。ただ、公共事業削減で、県の予算も減少傾向だ=グラフ。予算確保を望む声は多いが、一方で道路に恵まれた地域でも、課題は生まれている。

 福島市の飯坂温泉は今年、老舗(しにせ)旅館の倒産が続いた。バブル崩壊以来、観光客は減る傾向だが、昨秋からの景気悪化で拍車がかかったためだ。

 東北道から車で約10分と交通の便がよく、かつて社員旅行などの団体でにぎわった。今は家族連れら個人が増えたが、施設やサービスの転換などで柔軟に対応できなかった面が苦境を深めている。

 飯坂温泉観光協会の畑中靖さん(37)は「お客様を迎える気持ちや街づくりなど、魅力ある観光地づくりをがんばらないと、道路をきれいにしても人は来ない」と話す。

 道路を望む地域でも、道路がすべてではないとの意識は広がる。滝沢議長も「公共事業は限界に来ている。基盤はある程度整った」と語り、荒井会頭も「道路が特効薬にならない課題もあるし、無駄な道路もある」と言う。

 2人が強調するのは、地域のことを自ら決められる仕組みの必要性だ。国から地方への税源と権限の移譲が進まず、地域の事情を十分くみ取った予算になっていない、とみているからだ。滝沢議長は「今は国に却下される部分も多い。公共事業の予算が減るとしても、自分たちの思うように使える」と話す。

 選挙では政治家による道路整備の功績披露が繰り返される。一方、その足元では、地域作りを国頼みにしない仕組みづくりを求める声も、広がりつつある。(吉田素子)

 <道路整備> 県内の道路改良率は全国29位。国や県に対する市町村の要望も道路に関するものが多いが、公共事業予算のあり方が問われている。高速道路値下げや無料化の是非、道路整備に充てられる特定財源の暫定税率、国の公共事業に対する地方の負担金なども論点になっている。

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