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〈09総選挙 やまなし〉「最強」山教組、票固めに動く 現場と温度差

2009年8月22日

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 「県内最強の集票組織」とも言われてきた山梨県教職員組合(山教組)。04年参院選で選挙資金集めが問題となり、一時は動きが低調になったものの、支持する民主党の政権交代に向けて、幹部らは総選挙の応援活動に力が入っている。一方で、現場の教員の選挙離れが進みつつある。(岡戸佑樹、福山亜希)

 「これまで教職員の選挙運動が許されてきた山梨の政治風土を考えると、今回の選挙でも違法行為が予想される」

 8月6日、県教育委員会の教育長室。松土清教育長と向き合った自民党県連の清水武則幹事長は、県内の教職員が選挙活動をしないように求める文書を手渡した。

 山梨では、選挙のたびごとに行われてきた「恒例行事」だが、今回はこれまで以上に自民側の危機感が強いという。山教組の支持を受ける民主党が、「今回の選挙は山教組をフル回転させる」(輿石東・参院議員会長)と公言しているためだ。自民党県連幹部は「輿石氏が相当てこ入れをしている。しかも学校は夏休み期間中で、教職員が活動しやすい」と警戒する。

 山教組は県内291の公立小中学校の教職員で組織され、組合員は約4500人。組織率は全国トップクラスを誇り、過去の国政選挙で、きっちりと票を固めてきたとされる。ところが、輿石氏が立候補した04年参院選で、公務員の立場でありながら選挙資金集めに協力したことが発覚。教育公務員特例法に触れるとして、現職教員14人が懲戒処分を受ける事態となった。

 今回の総選挙では、昨年10月に民主党候補の推薦を決定。今年7月から本格的に動き出している。山教組執行委員会幹部の一人は「政権交代が現実的になり、組合員の活動に熱が入っている。『事件』の影響はあまりない」と強調する。

●「締め付け」には変化も

 一方で、現場の教職員の多くは、比較的冷めた表情を見せる。

 「今回は、締め付けがほとんどないからね」。小学校教諭の40代の男性は、そう話す。

 男性が山教組の「変化」を感じたのは、選挙に向けて本格始動した7月。勤務先で開かれた組合の会議で、頼まれた個票(後援会の入会カード)のノルマの数を聞いた時だった。かつては50人ほどだったが、今回は10人。結局、男性は6人分しか集められなかったが、責任者は何も言わなかったという。

 この男性は、資金集め問題の発覚以前は、「違法すれすれの選挙活動にも教員をかり出していた」と証言する。

 選挙のたびに、一室に集められ、選挙応援の電話をかけさせられた。「みんな、教え子の家にかけていた」という。個票集めのノルマも厳しかった。男性は親類からかき集め、足りない分は近所の人に頭を下げた。苦し紛れに飼い犬の名前を書いたら、選挙後、候補者から犬あてにお礼のはがきが届いたこともあったという。

 「集票組織だと言われているが、内実は仕方なく協力している教員が多い」と男性。逆らえば人事に影響するだとか、様々なうわさを先輩から聞かされて、組合に従わざるを得ない雰囲気があったからだという。「問題が発覚して以降、活動が鈍くなったことを歓迎している教員は多いはず」とも。「一枚岩」を誇ってきた大組織は、今回の総選挙でどう動くのか。

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