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〈あすを選ぶ 09衆院選〉選挙のバリアフリー「もっと」 障害者、対策訴え

2009年8月22日

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 衆院選への関心が高まっているが、障害者からは「マニフェストをどうやって手に入れたらいいのか」「投票のプライバシーを守ってほしい」といった声が出ている。選挙のバリアフリー化は、まだまだ進んでいない。(小若理恵)

 県視覚障害者協会の内田順朗(としお)会長(61)=津市白山町二本木=には、忘れられない体験がある。

 15年ほど前、合併前の旧白山町で点字投票したときのことだ。町役場に勤める知人から「この町に点字投票をする人はたくさんいない。順朗さんが誰に投票したか分かってしまうよ」と耳打ちされた。

 進行性の難病にかかり、29歳で失明。「障害者は投票の秘密を守ってもらえないのか」。字は書けるため、それ以来自書投票に変えた。

 今年は、点字の考案者ルイ・ブライユ(仏)の生誕200年。これを記念して、今回の衆院選は点字投票するつもりだ。「もう、昔のようなことはないと信じています」

 投票所で字を書けない場合、代理投票を利用できるが、補助者には投票した候補者名を知られてしまう。投票に行けない重度の障害者には郵便投票という方法もある。05年衆院選は県内で898人に郵便投票証明書を発行。実際に512人が自宅などから郵便投票をした。手続きをすれば第三者に代筆を頼めるが、県選管の担当者は「完全に不正を防げるとは限らない」と話す。

 こうした課題の解決につながるとされるのが、電子投票だ。

 四日市市は04年市長選から電子投票を導入。視覚障害者はヘッドホンをつけて音声ガイドに従い、手元でリモコンを操作して意中の候補者に投票する。聴覚と視覚の両方に障害がある人は、点字投票も選択できる。字を書くことができない身体障害者も、タッチパネルさえ押せば、自分で一票を投じることができる。

 市総務課によると、電子投票導入前の00年市長選(投票率31.41%)で、点字投票をした人は、投票者7万535人中17人。導入後の04年市長選(同42.07%)は、9万6203人中2人、08年市長選(同42.24%)は、10万2580人中7人だった。同課の一尾昇司副参事は「投票の秘密を守り、障害のある人も確実に自分の意思を投票に託せる利点がある」と話す。

 ただ、電子投票を実施している自治体は10団体、延べ20回と少ない。05年、名古屋高裁が電子投票のトラブルがあった岐阜県可児市議選の無効判決を言い渡したこともあり、国政選挙への導入は進んでいない。

 障害者の参政権について研究している筑波大学理療科教員養成施設非常勤講師・村田拓司さん(47)は「選挙の信頼性はもちろん大事だが、バリアフリーという観点が抜けている。障害者の権利を保障し、投票の選択を広げるためにも、電子投票の導入は有効だ」と指摘する。

●点字公約の部数不足

 視覚障害者のための点字や音声のマニフェストは十分ではない。

 自民党と民主党は点字版があり、民主はホームページで音声版もある。しかし、点字版は部数が少なく、点字図書館を利用したり、各党に問い合わせて入手したりしなければならない。

 県内の視覚障害者約4800人(18歳以上)のうち、点字が読めるのは約1割とされる。文字を読み取って音訳する機器を持っている人もいるが、内田さんは「実際にマニフェストに触れることができる人は少ない」と言う。

 また、県聴覚障害者協会の大屋隆会長(56)も「耳の聞こえない人が候補者を選ぶ判断材料が少なすぎる」と指摘する。政見放送に手話通訳をつけるかどうかも、政党によってばらつきがある。演説会や遊説には手話通訳がない場合が多い。同協会の倉野直紀常務理事(36)は「私たちも、候補者の表情を見て、主張を理解して自由に選択したい」と訴えている。

■主な政党の点字版、音声版マニフェストの有無

【自民】

 点字版 ○

 音声版 ×

【民主】

 点字版 ○

 音声版 ○(党ホームページで聴ける)

【共産】

 点字版 △(中央委員会にはあるが、県委員会にはない)

 音声版 ×

【公明】

 点字版 ×

 音声版 ×

【国民】

 点字版 ×

 音声版 ×

【日本】

 点字版 ×

 音声版 ×

【社民】

 点字版 ×

 音声版 ○(希望者に音声版CDを郵送)

【みんな】

 点字版 ×

 音声版 ×

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