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〈09総選挙@ふくしま マニフェストの現場から:4〉若者 政治不安、漂う閉塞感

2009年8月23日

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 福島市内に住む渡辺雅人さん(26)は公示日の18日、一日の大半を布団の中で過ごした。毎朝6時過ぎに家を出て市内の果樹園で働く日々。ほぼ2週間ぶりの休みだった。

 時給は約700円、手取りにすると、一日約7千円。ただ、雨が降ると仕事はしばしばキャンセルになる。社会保険に未加入で、国民健康保険や国民年金は何とか自分で払う。渡辺さんは「仕事はきついですよ。暑くて暑くて、なんでこんなに疲れるのかと思います。家に帰ったら、ただ寝るだけの生活です」。

 それまでは運送会社にいた。ハローワークに3カ月以上通って、やっとありついた仕事だったが、体力的に厳しく2週間ほどでやめた。

 その前は派遣社員。福島市内の大手のパソコン部品工場などで働き、月収30万円を超す時期もあった。一時は準社員にするとも約束されたが実現せず、見切りをつけた。

 2歳年上の彼女がいる。派遣社員の頃には、「結婚」の言葉も出たが、最近そんな話はない。「相手も、今の自分の状況ではそれどころじゃないと思っているのか」。少し寂しく感じている。

    ◇   ◇

 仕事や生活が軌道に乗らず、将来不安に陥る若者が多い。警察庁の調査によると、振り込め詐欺で逮捕された容疑者の約8割が20〜30歳代。県警でも今年に入って振り込め詐欺容疑で逮捕した6人のうち5人が30歳代だった。

 昨年暮れには、こんな事件もあった。いわき市の元派遣社員の男(30)が民家に忍び込み、約1週間潜伏。住人の当時79歳の男性に見つかり、殺害した。男は愛知県の自動車部品の製造工場で「派遣切り」に遭っていた。強盗殺人罪で無期懲役が確定した。

 若者の間に閉塞(へいそく)感が漂う一方で、政治を通し暮らしを変えていこうとする動きは高まっていないように見える。20〜24歳の投票率は05年総選挙で43.05%、07年参院選で30.64%と低迷。渡辺さんは「候補者が自分の名前を連呼するばかりの選挙戦では、何を訴えたいのか分からない」と話す。

    ◇   ◇

 「普段の大学生活をしていると、政治とは距離感があった」。そう話す福島大の池島宏史さん(20)は7月、一つの試みに加わった。県議や政党関係者を学内に招き、景気対策、地球温暖化、憲法問題などに関する討論会を主催。約30人の学生が聞きに来た。メディアでしか知らなかった政治に対し、自ら行動を起こしたかったという。

 各党のマニフェストには、子育て世代や高齢者を安心させる言葉が並ぶ。一方で、就職難から無年金、学力格差、温暖化まで、次世代を担う若者の背には、重い課題がのしかかっている。

 池島さんは今、どの政党に投票するか思案中だ。「小さな一票だけど、きっちり評価したい」と話す。まだ国政選挙で投票したことがないという渡辺さんも、今回ばかりは足を運ぶつもりだ。(北川慧一)

 <若者に関する政策> マニフェストには様々な「無料化」を訴える施策が並ぶ。ただ、借金を増やすと、若者の背負う将来負担が増大。持続的な年金制度、就労支援策、地域で安心して働ける産業振興策なども問われる。憲法改正の是非や日米関係などの外交も若者の未来にかかわる。

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