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〈09総選挙@ふくしま マニフェストの現場から:6〉医療 医師求め南へ北へ

2009年8月25日

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◇いわき市、勤務医不足で躍起

 東京や仙台の医大や大学医学部の校門前で6月から7月にかけ、ポケットティッシュが配られた。裏には、いわき市が主催し、医学生に参加を呼びかける「医師就職ガイダンス」の案内があった。

 配ったのは同市地域医療対策室の職員ら。仙台で約500個、東京は7校で2千個近い。「学生時代のアルバイトでも(ティッシュ配りは)やったことない」。同室の男性係長は苦笑した。

 市が医師確保に躍起になる背景には、市内で進む勤務医不足がある=グラフ。全国や県では医師数は増えているが、市内の勤務医の減少傾向に歯止めがかからない。

 市立総合磐城共立病院では、心臓血管外科の常勤医が今春やっと3人になり、緊急手術に対応できるようになった。それまでは2人、一時は1人しかおらず、急性患者の心臓バイパス手術などの際は、中通り地方の病院に救急車で運んでいた。

 しかし、脳卒中や脳炎などを診察する神経内科は06年10月以降、合併症状がある人工透析患者らが通う腎臓膠原病(こうげんびょう)科は今春以降、常勤医がおらず、週数回の派遣医師でしのいでいる状態だ。

     ◇     ◇

 同市のガイダンスは昨年度に続き2年目。今年度はこれまで開いた2会場で18人が出席した。市内29病院を載せたパンフレットを置き、人気映画「フラガール」の舞台となった歴史やゴルフ、サーフィンなどスポーツ環境のよさもアピール。主な病院がブースを設け、院長や事務長が医学生らと面談した。

 同市地域医療対策室の係長のもとには、参加者のメールアドレスや携帯電話番号のリストがある。定期的に連絡を取ったり、市の広報などを送ったりするほか、いわき勤務に意欲的な医師数人と折衝中だ。係長は言う。「効果のほどはわからない。だが頭のどこかにいわきを覚えていてもらえば、将来少しは有利になるかなと思いたい」

     ◇     ◇

 一方で市は「勤務医の負担を減らし、辞めさせない」施策も次々に繰り出す。今春から市立2病院で夜間や休日に救急外来を受診し、緊急性がないと判断された患者から一律2625円の「時間外診察加算料」の上乗せ徴収をしている。いわゆる「コンビニ受診」防止策だ。

 昨年1月からは市立病院で、事務補助を行う医療クラークとして臨時職員が、医師でなくてもできる仕事を担う。医師の給与面でも、06年11月の支給分から、臨床研修医を含めた「診療手当」の増額などを行っている。

 それでもなお、地方の医師確保の見通しは不透明だ。

 市内のある民間病院長は、04年に導入された臨床研修制度が元凶とみる。「研修先を研修医自身が決められるようになったことで地方に医療格差を生んだ。今の制度は廃止すべきだ」と話す。「医師が少ない中、若手は倫理観やプロ意識で激務に持ちこたえている。いつそれがプツンと切れてしまわないか心配だ」(松本英仁)

=おわり

<医療をめぐる政策> 「勤務医の確保」は複数の政党が掲げ、そのために大学医学部定員の拡大や診療報酬の見直しなどを進めるとしている。また、75歳以上の高齢者が対象の「後期高齢者医療制度」は自民、公明両党が維持を主張するのに対し、民主、共産、社民など野党は廃止を訴えている。

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