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〈09総選挙 やまなし〉「金丸票」に異変 自民王国支えた後援会「久親会」

2009年8月25日

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 強力な集票マシンとして、戦後の「自民王国」を支えた故金丸信・元副総裁の後援会「久親会(きゅうしんかい)」が、今回の総選挙で自民公認候補の支援に目立った動きを見せていない。知事選や総選挙で自民分裂選挙が相次ぎ、組織力の低下を招いたほか、会員に「小泉改革」に対する反発も根深いためだ。民主公認候補の選対に入り、古巣の自民党ににらみをきかす元幹部もいる。

(床並浩一、岡戸佑樹)

 「今回は支援できません」

 久親会の幹部の男性は、総選挙で支援を求める自民候補の陣営幹部に、そう伝えた。各陣営が選挙戦の準備を本格化した今春のことだ。

 全盛期の久親会は、市町村単位だけでなく、地域の自治会単位まで組織が張り巡らされ、抜群の集票力を誇った。連続当選12回の金丸氏にとって最後の選挙になった90年総選挙で、同氏は10万1756票を獲得。連続5回のトップ当選を果たした。

 建設業界など支持団体の会員企業もフル回転させた久親会。金丸氏の出身地盤の釜無川以西地域の得票率は、中選挙区で50%を超えるところもあった。同氏は引退後も影響力を発揮。死去後の会にも政治力が残った。事実上の後継者として、総選挙で初当選した建設官僚出身の横内正明氏(現知事)も、久親会の支援を受けた。その後も本部事務所(甲府市丸の内2丁目)を訪れ、支援を求める議員や新人は与野党を問わず、あとを絶たない。

 だが、自民分裂選挙になった前回選挙で、郵政民営化法案に反対する自民系無所属候補を支援した一部の久親会関係者のうち、今回、自民候補の支援に回る人は少ない。元幹部の一人は「金丸氏の顕彰碑を(06年に)建てた時点で、久親会の選挙は終わった」という。別の幹部は、前回選挙で「小泉氏は(金丸氏の所属した派閥)経世会をつぶしにかかっていると思い、死ぬ気で戦った」と振り返り、「小泉チルドレンに投票してくれ、なんていえない」と話す。

 さらに民主党に流れる動きも加速している。

 「今回は民主党の候補に入れよう」

 甲府市在住の60代の会員は今月中旬、お盆で集まった親族36人を前にこう切り出した。

 男性は、かつて金丸氏の「ファミリー企業」といわれた架橋工事会社の協力会社に勤務。他の協力会社員と一緒に同氏の選挙を手伝うようになり、その後、久親会に入会。選挙の際は、親族の票をとりまとめてきた。

 18日の公示日。県内の民主公認候補の出陣式で、元久親会幹部の男性は選対幹部としてあいさつに立った。男性は取材に「民主の候補を支援することに抵抗はない。55年体制のようなイデオロギー対立もない」と答えた。

 もちろん、現職の久親会系県議は自民候補の支援姿勢を打ち出している。また、会員の多くは自民党員で、峡北地域の男性会員は「前回も応援した自民候補を今回も支える」と話す。

 金丸氏の次男で、久親会を事実上取り仕切る信吾氏は、「いまの久親会は親睦(しんぼく)団体。個人の判断で特定候補の応援を勤務先で呼びかけているが、組織として会員に支援を求めていない」と話す。

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