現在位置:
  1. 2009総選挙
  2. 地方ニュース
  3. 和歌山
  4. 記事

〈1票を求めて〉和歌山1区 風にらみつつ組織固め 地元を奔走

2009年8月25日

印刷印刷用画面を開く

<1区の候補者>

◇1区

岸本周平 53 民新

斉藤昌宏 57 諸新

谷本龍哉 42 自前

国重秀明 48 共新

 (届け出順に記載。)

 夜もこうこうと明かりがともる和歌山市島崎町2丁目の選挙事務所。「お忙しいとこ、呼び立ててすんません。よろしくお願いいたします」。自民前職の谷本龍哉(42)は、ミニ集会を終えて事務所から出てくる一人ひとりに出口で頭を下げた。多い時には1晩に3回のミニ集会を開く。スタッフの駐車場への誘導も手慣れたものだ。

 演説で谷本は「紀の国大橋、阪和道の和歌山北インターチェンジなど、きちんと予算をつけてきた」と地元への貢献をアピールする。

 00年、谷本は党本部が保守党の中西啓介(故人)を、党県連が谷本を推薦するという分裂選挙を戦い抜いて議席を手にした。その運動を中心になって支えたのは、父・昌直だった。元県職員で様々な政治勢力に顔が広い昌直の指揮の下、組織を手堅くまとめる選挙戦で当選を重ねてきた。だが、その父が05年末に死去した。

 公示前、これまで一枚岩だった支持団体にはほころびも出た。部落解放同盟県連は今回、民主新顔に推薦を出した。これまで比例区で公明への投票呼びかけを鮮明にしてこなかったこともあって、公明の推薦は県内の3人の自民前職の中で最も遅れた。

 こうした組織の乱れを取り戻そうと、団体推薦は前回以上の200あまりを集め、市内42連合自治会のうち37の推薦を取り付けた。公明との協力態勢も整い、票固めを進める。かつてない逆風が吹く中で、県議、市議らは「和歌山のためにやってきた3期9年の実績がある谷本をここで見捨てていいのか」と訴えかける。

 民主新顔の岸本周平(53)は05年に落選してから連日続けてきたJR和歌山駅前などでの朝立ちを公示後も続けている。朝6時から「おはようございます」「いってらっしゃい」。政策を訴えるというよりは、朝はただひたすらあいさつし手を振る。その姿は、財務省で課長を務め、トヨタ自動車に再就職したほどの人物が「そこまでやるとは」と周りに思わせるに十分だ。

 一方で街頭演説では「財源は心配ありません。私が生み出して見せます」と官僚としての経験も武器に信頼感を訴えている。応援に訪れた鳩山代表も「国会に来てほしい即戦力の一人」と太鼓判を押す。

 岸本は05年総選挙の公示の直前に立候補を表明。実質的に選挙運動を取り仕切ったのは、00年に谷本と戦った中西の支持勢力だった。活動期間が短かったにもかかわらず、谷本との差を約2万票差まで詰めた。

 今回は中西派と元々の民主の支持母体である連合和歌山や傘下の労組に加え、岸本の母校、県立桐蔭高校の同級生らが中心となっている岸本個人の後援会組織も選挙態勢を整えた。また、和歌山市長選にも出た無所属の県議、山下大輔が08年7月、民主に入党するなど活動の幅が広がっている。

 だが、地域の有力者を押さえ、数多くの市議・県議をかかえる自民に比べて「圧倒的に組織の広がりがない」という声は相変わらずある。

 陣営幹部の一人は「感触は悪くはないが、雲をつかむような感じだ。風にあぐらをかいていては、あっちの『かわいそう』と同情をひく作戦にひっくり返される」と危機感を訴え、引き締めに躍起になっている。

 共産新顔の国重秀明(48)は、党が県内で唯一立てた小選挙区の候補者。自民対民主の政権選択が注目される中、埋没を避けようと活動している。連日選挙カーで走り回り、街頭演説をしている。さらに、比例票の獲得のため、選挙区外の橋本市などへも出向く。

 「自公政権の退場が一番だが、(民主が政権を取った場合は)責任ある野党として建設的な意見を出していきたい」と他党との違いをアピールしている。(敬称略)

(加藤順子)

    ◇

 政権をかけた総選挙は、有権者の審判が下るまで1週間を切った。各候補者が声をからして「一票」を求める県内の3小選挙区を、記者が歩いた。

検索フォーム