現在位置:
  1. 2009総選挙
  2. 地方ニュース
  3. 山梨
  4. 記事

「医療政策」候補者に聞く 立候補者アンケート〜医療編

2009年8月26日

印刷印刷用画面を開く

 医師不足、病床削減、保険財政悪化など、安心して暮らすために欠かせない社会保障問題は、最近の国政選挙で常に有権者の選択を左右する大きなテーマだ。朝日新聞甲府総局は、3選挙区に立候補した11人に30問のアンケートをし、医療政策についてどう考えているのかを聞いた。

◆社会保障費抑制撤廃、方針転換を「評価する」は5人

 小泉内閣は、急速な高齢化で増え続ける社会保障費を毎年2200億円分を抑制する目標を掲げた。麻生内閣は、「骨太の方針2009」で、有権者を意識した党所属国会議員と、医療・介護・年金の現場関係者の声を受け、方針転換をした。この麻生内閣の方針転換を評価するか――。

 「評価する」と回答したのは、いずれも自民前職の赤池誠章氏(48)、堀内光雄氏(79)、小野次郎氏(56)と無所属前職の長崎幸太郎氏(41)、幸福新顔の宮松宏至氏(69)。

 堀内氏は「医師や介護職の不足などで現場が混乱している」、赤池氏は「医療の質を確保し、関係者の待遇を改善するため」などと、現場の環境悪化を理由に挙げた。

 一方、民主前職の後藤斎氏(52)と同新顔の坂口岳洋氏(38)、共産新顔の遠藤昭子氏(57)、幸福新顔の早瀬浩之氏(48)は、「評価しない」とした。後藤氏は「社会保障制度の抜本的改革が必要」とし、遠藤氏は「選挙目当てのごまかしに過ぎない」と見ている。

 民主前職の小沢鋭仁氏(55)と幸福新顔の桜田大佑氏(47)は、「どちらともいえない」を選んだ。

◆国民皆保険 「変えるべきだ」6人、3人「維持し改革を」

 保険証があれば一部負担で医療を受けられる国民皆保険制度。保険料の未納や保険財政悪化で、制度の基盤は揺らいでいるが、この制度を今後も維持すべきなのか――。

 現行制度を「変えるべきだ」の選択肢を選んだのは、自民の堀内氏と小野氏、民主の坂口氏、無所属の長崎氏、幸福の早瀬氏と宮松氏。

 長崎氏は「保険料の所得比例の上限を撤廃することなどにより、より公平な負担を確保すべきだ」と提案。小野氏は、高齢化で医療費は増え続ける中でも制度維持の観点から「給付の合理化・効率化を行い、対応しきれない部分は安定的な財源を確保しなければならない」と考える。堀内氏や坂口氏は、保険者の一元化によって安定的な運営を目指す考えを強調した。

 自民の赤池氏、民主の小沢氏と後藤氏は、維持を前提としながら、改革の必要性などを示しながらも、現行制度を「維持すべきだ」の選択肢を選んだ。

◆後期高齢者医療制度、「廃止すべきだ」4人

 75歳以上のお年寄りらを別建ての保険制度にした後期高齢者医療制度の見直しについて尋ねたところ、自民の赤池氏と堀内氏と小野氏、無所属の長崎氏の4人は「見直しする必要がある」と回答した。見直しのポイントは、赤池氏は「低所得者の負担軽減」。堀内氏は「75歳以上を切り離す制度に無理がある」とした。小野氏は「運営主体を市町村単位から都道府県単位に」、長崎氏は「全国一律の保険制度として財源の安定性を確保する」と提案している。

 一方、民主の小沢氏、後藤氏、坂口氏、共産の遠藤氏の4人は「廃止すべきだ」を選んだ。小沢氏は「廃止に伴う国民健康保険の財政負担増は国が支援していく」としている。遠藤氏は「75歳以上は無料にすべきだ」とした。

◆医師・診療科偏在の是正、3人が「選択に制限」

 医学部の定員は増やされたが、現在のように医師免許さえあれば、どこに勤務しても、どの診療科を選んでも、どこで開業しても、基本的に自由という環境では、本当に医師を必要としている地域や診療科が充足されるかわからない。

 この地域偏在、診療科偏在を是正するために、「勤務地、診療科選択に制限を加えるべきだ」という選択肢を選んだのは、自民の堀内氏と小野氏、民主の後藤氏の3人。後藤氏は「地域バランスを早急にとるため、一時的な制限が必要」と回答。堀内氏は「地方における医師不足、特に産婦人科と小児科の医師不足解消を図るため、勤務地や診療科の選択を制限すべきだ」とした。

 一方、自民の赤池氏、民主の小沢氏と坂口氏、共産の遠藤氏、無所属の長崎氏、幸福の桜田氏は、「その他」を選択し、制限に関する明確なスタンスを示さなかった。

 赤池氏と長崎氏は、大学病院の医局機能の強化を指摘。遠藤氏と坂口氏は、補助金などによる政策誘導を挙げている。

 ※一覧は、回答から一部抜粋。並び順は届け出順

 【質問5】 小泉政権下でまとめられた「骨太の方針2006」に基づき、政府は、医療・介護・年金といった社会保障費を年間2200億円抑制する方針をとってきました。急速な少子高齢化社会の進行と人口減社会、財政赤字、低成長時代などを見据えた政策ですが、麻生内閣は2010年度予算案編成に当たり、この社会保障費抑制策を撤回しました。この麻生内閣の方針について、どう評価しますか。 (1)評価する (2)評価しない (3)どちらともいえない

 【質問6】 政府は、医療給付費の抑制政策をとっています。一方、医療保険は今、保険財政がひっぱくしています。国民皆保険制度を持続可能にするためには、現行制度を維持すべきだと思いますか、それとも変えたらいいと思いますか。 (1)現行制度を維持すべきだ (2)変えるべきだ (3)どちらともいえない

 【質問7】 後期高齢者医療制度は、見直しする必要があると思いますか。見直しする場合、どのような点での見直しが必要か具体的に教えて下さい。 (1)見直しする必要がある (2)廃止するべきだ (3)見直しする必要はない (4)その他

 【質問8】 政府は政策を転換して医師養成数の増員を決めました。しかし、増員だけでは必要な地域・病院・診療科に医師が充足されるとは限りません。これらの偏在を是正するには、どのような施策が必要だと思いますか。 (1)医師の勤務地、診療科選択に制限を加えるべきだ (2)医師の勤務地だけに制限を加えるべきだ (3)医師の診療科だけに制限を加えるべきだ (4)制限を加えるべきでない (5)その他

      *

 氏名(年齢)

<1区>

早瀬浩之氏(48) 

 【質問5】 (2) 抑制しないと、社会保障費は増大するばかりになります 

 【質問6】 (2) 保険医療の民営化 

 【質問7】 (3) 全体の医療費を下げるため、公立病院の経営を効率化して黒字化し、患者の医療費負担を軽減します。そのために黒字経営をしている民間病院や企業の経営手法を取り入れると良い 

 【質問8】 (4) 制限すれば解決する問題ではない。公立病院は赤字経営で、その結果、適正に医師を雇えない。病院のトップに医師でない経営の専門家が就任できるように法制度を改めると良い

遠藤昭子氏(57) 

 【質問5】 (2) 麻生内閣の決定した「骨太の方針2009」は、抑制路線を継続する一方で来年度は削減しないという一時的なもので、選挙目当てのごまかしに過ぎない

 【質問6】 (3) 持続可能で安心できる医療保険財政を確立するため、<1>国庫負担を計画的に元に戻す<2>薬価を見直し、高額医療機器の価格を下げる<3>予防や公衆衛生、福祉の充実などの改革に取り組む 

 【質問7】 (2) 75歳という年齢だけで差別し、際限ない負担増と医療切り捨てを押しつける制度は、廃止はもとより、75歳以上の医療費は無料にすべきだ 

 【質問8】 (5) 先進国並みに医師増に踏み出すべきだ。その上で、医師不足の地域や診療科を対象に、(1)公立病院への支援・診療報酬引き上げをはかる(2)全国的な医師派遣システムを確立する

小沢鋭仁氏(55) 

 【質問5】 (3) 「社会保障を毎年減額し、道路だけ同じように建設することは時代のニーズに合わない」と主張してきた。1人当たりの医療費は比較的低い水準にあり、世界水準にすべきだ

 【質問6】 (1) 国民皆保険制度は徹底的に維持すべきだ。ただ、自由診療の部分は増やしていいと思う

 【質問7】 (2) 現代版「うば捨て山」といわれる後期高齢者医療制度は即時廃止する。廃止に伴う国民健康保険の財政負担増は国が支援していく

 【質問8】 (5) 医師養成の質と数を拡充するとともに、都市部に集中する研修医を調整して地方に振り分けるなどの施策を行う

赤池誠章氏(48)

 【質問5】 (1) 医療給付費の抑制は限界にきている。医療の質を確保し、関係者の待遇を改善するためには、社会保障費抑制政策は撤回し、増額すべきだ

 【質問6】 (1) 社会保障は、自助、共助、公助のバランスが大事である。国民健保、健保組合、共済保険、長寿医療制度、医療給付費増額などの財源は、保険と税金の併用でまかなうべきだ

 【質問7】 (1) 低所得者の方々への負担軽減は実施すべきだ。ただし、以前、無料化によって病院がサロン化した反省も踏まえて、少しでも自己負担分を残すことは必要であろう

 【質問8】 (5) 新しい臨床研修医制度によって、医局(大学医学部)による医師派遣機能が低下してしまったことを踏まえ、臨床研修医制度を見直して医局機能を強化することが必要であろう 

<2区>

堀内光雄氏(79) 

 【質問5】 (1) 医師や介護職員の不足などで現場が混乱している。少子高齢化で社会保障費の自然増もあり、一律的な抑制は限界にある 

 【質問6】 (2) 共済組合保険、国民健康保険、企業などの健康保険を一元化し、運営の安定化とサービスの向上を図る

 【質問7】 (1) 75歳以上を切り離す保険制度そのものに無理があり、成り立つ制度ではない。抜本的見直しが必要

 【質問8】 (1) 地方における医師不足、特に産婦人科と小児科の医師不足解消を図るため、勤務地や診療科の選択を制限すべきだ

坂口岳洋氏(38) 

 【質問5】 (2) 単に選挙を意識した対応であり、真に今後の展望が議論されておらず、全く評価に値しない

 【質問6】 (2) 後期高齢者医療制度を廃止し、将来的に新たな一元的運用による医療保険制度により、国民皆保険制度を守るべきだ

 【質問7】 (2) 強行採決で強引に短期間でつくられ、不備な点も多い制度であり、廃止すべきだ

 【質問8】 (5) 地域医療の安心確保のため、総合的見地からの配置基準をもとに、契約行為による医学生への学費補助・奨学金や、医師養成・協力機関への財政的支援が必要

長崎幸太郎氏(41)

 【質問5】 (1) 社会保障費については、「消費」ではなく、「投資」と発想を転換すべきだ。社会保障費の積極的支出には、賛成

 【質問6】 (2) 保険料の所得比例の上限を撤廃することなどにより、より公平な負担を確保すべきだ

 【質問7】 (1) 県単位ではなく、全国一律の保険制度として、財源の安定性を確保するとともに、福祉目的所得税の導入などにより、保険料負担・窓口負担の不安を解消すべきだ

 【質問8】 (5) 医師の偏在を防止するためには、大学病院の医局の派遣機能を復活させる必要があるのではないか。そのため、大学病院に対する各種優遇措置を検討する必要がある

宮松宏至氏(69)

 【質問5】 (1) 高齢者がプライドを持てるよう、老後は自分の力で自分を助ける自助努力の精神が育まれるから評価する

 【質問6】 (2) 病院経営を医者任せにするのではなく、専門の民間経営者に委託するべきであるから

 【質問7】 高齢者の自由な選択に任せるべきである

 【質問8】 (4) 医師の自由選択を尊重し、抜本的な解決として西洋医の必要としない制度を取り入れるべきであるから。例えば、東洋医学など

<3区>

小野次郎氏(56)

 【質問5】 (1) 今後、高齢化社会を迎え、社会保障費は増大する傾向にあり、抑制政策撤回は、現実的な対応である

 【質問6】 (2) 高齢化の進展に伴い、医療費の増大は避けられず、国民皆保険制度を維持する観点からも、給付の合理化・効率化を行い、対応しきれない部分は安定的な財源を確保しなければならない

 【質問7】 (1) 様々な方面の批判や意見を真摯に受け止め、高齢者の心情に配慮し、法律に規定の5年後見直しを前倒しし、特に運営主体は市町村単位から都道府県単位とし、抜本的に見直す

 【質問8】 (1) 産科、救急、へき地などの医師への手当、不足地域に医師を派遣する病院への財政支援。女性医師らが働きやすくなるように院内保育所の整備。一定期間、へき地での研修

桜田大佑氏(47)

 【質問5】 (3) 白紙の目でもって、全体で必要な額を決めていく

 【質問6】 (3) 医療費が高いことが問題で、その医療費負担を国がするか患者がするかということになる。問題は病院の赤字。医療に経営的手法の導入や規制緩和が必要

 【質問7】 (4) 公立病院を経営効率化し、患者負担を軽減する。民間の手法を取り入れる。宗教的観点から苦痛の期間をいたずらに長引かせないという選択も重視し、高額な終末医療コストを下げる

 【質問8】 (5) 病院トップに経営の専門家が就任できるようにすることや、医師でなくても行えることは看護師などに任せるための規制緩和を行う。医療サービスの価格の自由化もある程度必要

後藤斎氏(52)

 【質問5】 (2) 社会保障制度の抜本的改革が必要

 【質問6】 (1) 国民皆保険を堅持し、持続可能な制度となるように改革する

 【質問7】 (2) 老人保健制度にいったん戻し、被用者保険と国民健康保険を順次統合しつつ、将来的に医療保険の一元化を目指す

 【質問8】 (1) 地域バランスを早急にとるため、一時的な制限が必要

検索フォーム