読者と対話、東京でも
一連の問題に指摘・注文

 「信頼回復と再生のための委員会」は、朝日新聞の再生プランづくりに生かすため、これまでに読者モニターを務めたみなさんとの対話集会を開きました。

 朝日新聞東京本社で13日に開かれた集会には、関東在住の6人の方に参加して頂きました。まず、当社取締役で前編集担当の杉浦信之が「池上彰さんのコラム掲載を見合わせたことが、一連の問題の中で最大の責任があると感じています。大変な失態でした」とおわびしました。

 慰安婦報道で吉田清治氏(故人)の証言に関連する記事と、福島第一原発事故にかかわる「吉田調書」報道を取り消したことをめぐり、参加者から「朝日新聞と読者の感覚のずれ」を指摘されました。茨城県の30代女性は「一度出てしまったものは取り消せない。軽く感じた」と話しました。

 ほかにも、「図書館で昔の記事を読んだ人には取り消した事実はわからない」(埼玉県の60代男性)、「書かなかったことにしてほしいという意味なのか」(神奈川県の50代女性)などの意見が相次ぎました。千葉県の80代男性は「新聞社にとって取り消すことは重いが、読者に重い軽いは関係ない。なるべく早く取り消された問題のフォローを」と注文しました。意見に対して当社ゼネラルエディターの長典俊は「慰安婦問題などの歴史問題や、原発事故の現場で起きたことを書いていかなければならないと改めて思いました」と答えました。

 記者教育について、神奈川県の60代男性は「新聞社の外で、取材を受ける側の経験をさせるべきだ」と提言しました。また、東京都の20代女性は「がっかりしたのは、朝日新聞の社員の意識。上の人だけではなく、下の人たちも同じように謝罪の気持ちを持つべきでは」と話しました。

(朝日新聞 2014年10月15日 朝刊37ページ 東京本社)