池上さんコラム掲載見送り、経緯を説明します

 池上彰さんのコラム「新聞ななめ読み」の掲載見送りに関し、第三者委員会から、その判断は実質的に木村伊量(ただかず)前社長によるものだったとの指摘を受けました。さらに、外部に対し「弊社として連載中止を正式に決めたわけでなく、池上彰氏とは今後も誠意を持って話し合う方針です」と答えていたことは、池上さんとの協議を朝日新聞社が自社に有利に解釈したとされました。こうした指摘を重く受け止め、当時の経緯を説明いたします。

 「新聞ななめ読み」は原則的に月末の金曜日にオピニオン面に掲載されています。8月末に予定されていたコラムでは、朝日新聞社側の依頼で8月5、6日に掲載した慰安婦特集について論評していただくことになっていました。27日に届いた原稿を読んだ木村前社長は、杉浦信之・前編集担当に対し「大変厳しい内容」という感想を伝え、前編集担当が掲載を見送る判断をしたと説明してきました。

 これに対し、第三者委員会は、木村前社長と杉浦前編集担当の協議があり、実質的に前社長が掲載見送りを判断した、と結論づけました。報告書には前編集担当がコラムを担当する編集部に対して(1)連載打ち切りのリスクよりもコラムを載せる方がリスクが高い(2)掲載しない判断は経営上の危機管理の観点からだ(3)(8月の慰安婦特集で)謝罪しないという方針は社として決定したものだ(4)社長の「逆風に負けずに頑張る」という言葉が社内向けホームページにアップされるタイミングでコラムをこのまま掲載することはできない――などと説明したことが記載されています。

 前社長と前編集担当の退任後、朝日新聞として2人に経緯を聴いたところ、この内容は、前社長との協議を踏まえたもので、前社長がこうした趣旨の強い意見を述べていたことを確認しました。

 一方、池上さんとの交渉に関しては、池上さんが「掲載されないなら、朝日新聞との信頼関係が崩れたことになり、連載も続ける状況にない」と話し、担当者らは「この場で最終判断することはできないので、いったん持ち帰らせてください」といって帰ったという説明を続けてきました。

 しかし、編集幹部と担当部門は「このままでは連載が打ち切りになる」と判断し、連載をどのように終わらせるかの方法を検討し、池上さんに打診していました。

 そうした池上さんへの打診に関する情報は、危機管理担当の役員や広報部門に伝わっておらず、外部に対し、「弊社として連載中止を正式に決めたわけでなく、池上彰氏とは今後も誠意を持って話し合う方針です」という説明をしていました。

 9月2日、雑誌のインターネット版に「新聞ななめ読み」が不掲載になったことが報じられました。社外でそのことへの批判が高まり、不掲載を知った編集部門からも大きな反発が起きました。そうしたことも受け、編集部門でも部長会の総意として掲載を求める声があがり、改めて池上さんに対して原文のまま掲載することをお願いし、9月4日付朝刊にコラムが掲載されました。

 この間の説明が不適切な内容になったことを反省し、おわびいたします。9月の記者会見後、第三者委員会にこの問題についても検証をお願いしたため、その支障になりかねない会社としての調査は控えていました。対応が遅れたこともおわびいたします。

(朝日新聞 2014年12月23日 朝刊2ページ 東京本社)