手塚治虫文化賞

第13回新生賞

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乱歩ワールドに新たな魅力

丸尾末広氏 『パノラマ島綺譚(きだん)』(エンターブレイン)

『パノラマ島綺譚』表紙©丸尾末広/エンターブレイン

 貧しい青年が自分とうりふたつの富豪になりすまし、夢想していた地上の楽園・パノラマ島をつくり上げる。原作は江戸川乱歩。陶酔と狂気、幻想と惑乱に満ちた世界を「装飾美豊かに視覚化し、新たな魅力を吹き込んだ」と評価されて受賞した。

 「24歳でマンガ家になってからずっと描きたかった」。文章から細部をふくらませ、思い浮かんだ画像を執拗なまでに描き込む。アシスタントはいない。「いじましい手作業だった」

 苦労したのは、目の錯覚によって凝縮された風景が続くパノラマの世界。「文章と絵では予想以上に表現が違った」

 15歳で上京。戦前に一世を風靡した画家の高畠華宵らの影響を受け、働きながら独学で画法を学んだ。怪奇的で妖艶な画風は海外でも評価が高い。

 5月から乱歩の「芋虫」を連載。さらに濃厚な世界が待つ。


《まるお・すえひろ》

丸尾末広さん丸尾末広さん

 56年、長崎県生まれ。80年にデビュー。代表作に「少女椿」など。小説の挿絵やイラストでも活躍。

※受賞者プロフィールは当時のものです。