手塚治虫文化賞

第16回特別賞

第16回 | マンガ大賞 | 新生賞 | 短編賞 | 特別賞 | 贈呈式 | これまでの受賞の記録

被災の子どもを笑顔に

「あの少年ジャンプ」

 ぼろぼろになった1冊の週刊少年ジャンプが、額縁に入れられ、同誌編集部で大切に保管されている。

 震災に見舞われた仙台市の中心部。津波の被害などはなかったが、多くの書店は休業を余儀なくされた。

 塩川書店五橋店は、震災の3日後に店を再開した。店主の塩川祐一さん(49)が、近所の母親たちに「子どもが余震やテレビの映像におびえているので、絵本やマンガを見せたい」と声をかけられたからだ。

 でも、流通は止まり、最新のコミック誌などは届かない。子どもたちが残念がるなか、ある男性客が県外で買って、読み終えたジャンプを譲ってくれた。

 ジャンプ読めます――店頭に張り紙をすると、たくさんの子どもたちが押し寄せ、回し読みをした。その様子が報道されると、全国から最新のコミック誌がたくさん届けられた。

 家を流され、避難所に身を寄せる母親が子どもを連れてきたこともあった。

 塩川さんは言う。

 「子どもがマンガを読んで笑えば、大人も笑顔になる。マンガは人々をあったかくしてくれたんですよ」

 ◆特別賞の賞金100万円は、塩川書店を通じて、大震災出版復興基金に寄付されます。