手塚治虫文化賞

第17回新生賞

第17回 | マンガ大賞 | 新生賞 | 短編賞 | これまでの受賞の記録

型破りな女性の生き方

山本美希さん 「Sunny Sunny Ann!」(講談社)

 大学院でビジュアルデザインを学んでいる。大学在学中、印刷物の歴史を学ぶ授業の中でマンガに触れ、自ら作品を手がけるようになった。

 車で移動しながら寝泊まりする米国女性アンが主人公。見た目も性格もたくましい。「描いた当時、進学するかどうか自分の進路で悩んだこともあって、型破りな生き方をするのもいいんじゃないかと。とにかく強い女性を描きたかったんです」

 日本が舞台だと「型破り」が描けないから米国に。米映画「グロリア」に登場する女性の雰囲気も好きだ。文字を使わない外国絵本「アンジュール」にも影響され、独特な描線や少ないせりふが確立していった。

©山本美希/講談社

 巻末には「ついに全世界を自分の部屋にしたのだ そしてそのドアをあけはなったのだ」という別のマンガ「ロストハウス」(大島弓子さん)の文章を引用。「家」がないアンの生き方に深みを与えている。

 家を失った被災者と状況は重なるが、構想したのは東日本大震災前だ。「悲しいこととして描いていないので、結果的に読んで励まされることになればと願っています」

 将来はマンガ家になるのか。「食べていくのは難しいかも」との答え。でも、マンガは描き続けたいのだ。「いずれフルカラー作品をやってみたい」


《やまもと・みき》

山本美希さん

 1986年生まれ、茨城県出身。無声マンガと呼ばれる「爆弾にリボン」で2011年に単行本デビュー。「Sunny Sunny Ann!」は、モーニング(講談社)誌上に同年から不定期掲載された後、昨年7月に単行本化された。