ジャーナリズム

オピニオン面 賛否両論考える材料提供

朝日新聞を一面からめくっていくと、中ほどに社説の面があります。ウイークデーは、社説の右に「声」という読者の投稿欄。左面では、大型のインタビューなど識者の意見が紹介されています。社説の下には顔写真入りの記者コラム「記者有論」や「社説余滴」。左面の下には中型の「リレーおぴにおん」や連載コラムもあります。

これが、朝日新聞が重視している「オピニオン面」です。

政治も経済も文化も、大きく変わる時代です。さまざまなテーマについて、新聞は多様な意見を発信していかなければなりません。例えば、2012年、日本政治の最大の争点となった消費税率の引き上げ問題。朝日新聞の社説は、社会保障を充実させ、財政再建も進めるには消費増税は避けて通れないという立場を明確に打ち出しました。しかし、世論は多様です。景気を冷え込ませないか。行政のムダは放置されていないか。読者や有識者らの懸念を紹介し、時には社内の賛否両論も掲載して、考える材料を提供しました。

東日本大震災の福島第一原発事故を受けて深刻になった原発問題。朝日新聞は社内で論議を重ねた結果、「脱原発を進めるべきだ」という考え方を掲げましたが、国民の間では、経済や環境の視点から原発は維持すべきだという意見もあります。朝日新聞は、この問題でも賛否両論を紹介して論争を深めていきたいと考えました。原発問題では、毎週金曜日の夕方に首相官邸前に多くの人々が集まり、脱原発デモが続けられました。民意は原発をどうとらえて、何を発信しようとしているのか。オピニオン面では脱原発デモの背景や行方についても考察してみました。

朝日新聞には外交・安全保障、金融、スポーツなど多くの分野の専門記者がいます。ふだんは編集委員や論説委員として解説記事やコラム、社説を書いていますが、そうしたベテラン記者に登場してもらい、中身の濃いインタビュー記事を載せているのもオピニオン面の特徴です。外交・安全保障担当の加藤洋一編集委員は、米国や中国の当局者や学者に取材し、米中という両大国の不信感を浮き彫りにしました。経済担当の原真人編集委員は、TPP(環太平洋経済連携協定)に批判的な学者と真っ向から論争して、この問題の本質をえぐり出しました。原子力、スポーツなどの分野でも内外の著名人と専門記者との激しいやりとりが展開されました。これも、オピニオン面の特色です。

このような紙面は、欧米の多くの新聞では「オプ・エド」欄として定着しています。これは「Opposite the Editorial Page」の略で、「社説の反対側にあるページ」という意味です。そこから転じて、社説と異なる意見をきちんと取り上げて多様な意見を展開する紙面となりました。オピニオン面は日本の「オプ・エド」欄です。朝日新聞は、こうした論議の舞台を整えることで民主主義の成熟に貢献したいと考えています。