ジャーナリズム

「声」欄 1通から広がる共感

読者の自由な言論の場である「声」欄には、全国から毎日平均200通ほどの投書が届きます。政治や経済、社会問題から身近な出来事まで、内容はさ まざまです。投書数は20年で1割弱ほど増えています。小学生から20代前半までの「若い世代」というコーナーもあります。戦場を生き抜き、戦禍に耐えた人たちが体験をつづる特集「語り継ぐ戦争」は数冊の本になっています。

東日本大震災は投書の力を再認識させてくれました。2011年の3月11日以降、東京本社に届いた投書は、ピークの1週間ほどは、1日平均の4倍になる400通前後に上り、3月末には東日本大震災関連だけで約5700通に達しました。被災地の62歳女性は「便箋が入手できなくて」とチラシの裏に思いをつづってくれました。

朝日新聞デジタルと連動した特集も継続してきました。震災9カ月後の12月11日の「声」欄で特集を企画。投書を寄せた11人の被災者のその後を追った特集記事を、朝日新聞デジタルに掲載しました。1年後の2012年3月は2回にわけて特集。1年半後の9月にも特集しました。13年3月は10日、11日に特集しました。デジタルでは掲載者のうち、3人のインタビューを紹介。「お客様から預かった大切な衣類を津波に流されてしまって、申し訳なくて謝って回った」という陸前高田市の元クリーニング店主もその一人でした。70歳のこの男性は「街は必ず復興する」と結んでいます。

「悪口言う人 悪い所持っていく」という、いじめられている子どもたちへのエールを込めた58歳女性の投書が12年7月に載りました。フェイスブックで紹介され、「いいね」と共感を示した人が4日間で約6万人に達したことが、夕刊で紹介されました。

「看護師になってね お母さん」は12歳中学生からの投書です。同年10月に届きました。看護師をめざす母親を応援する娘のやさしい気持ちにあふれた内容でした。すぐに「現役の看護師の私からもエール」が39歳女性から届き、40歳女性から「歯科助手として頑張っています」、71歳女性からも「看護師として人生『全て宝』」と続きました。福岡県の中学生の声に全国各地から世代を超えて反響が寄せられました。

1本の投書がきっかけになり、共感の輪が広がり、大きな力になることもあります。社会的影響の大きさを自覚し、読者のみなさまの声と真剣に向き合っていきたいと思っています。(投書はいずれも東京本社版)