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両さんの個性、コラボで全開 前島賢

秋本治原作/秋田禎信・朝井リョウほか著 『VS. こち亀 こちら葛飾区亀有公園前派出所 ノベライズアンソロジー』(集英社 1,620円)

秋本治原作/
秋田禎信・朝井リョウほか著
『VS. こち亀 
こちら葛飾区亀有公園前派出所
ノベライズアンソロジー』
(集英社 1,620円)

 先月9月17日発売の『週刊少年ジャンプ』42号で40周年を迎え、単行本200巻刊行とともに、惜しまれつつも全1960話の連載を終了した秋本治の人気マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(ジャンプコミックス)。「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定され、「世相・風俗を巧みに取り入れ、上質な笑いに満ちた作品」と作者の秋本治が第64回菊池寛賞を受賞するなど話題に事欠かないが、そんな40周年を彩る企画のひとつが『VS.こち亀 こちら葛飾区亀有公園前派出所ノベライズアンソロジー』だ。秋田禎信、朝井リョウに初野晴、東川篤哉らベストセラー作家陣に加えて、赤塚不二夫にガールズ&パンツァー製作委員会なんて名前まで並ぶ本書は「VS.」の名の通り、『おそ松さん』に『魔術士オーフェン』、『ガルパン』に『チア男子!!』、『ハルチカ』に『謎解きはディナーのあとで』といった人気シリーズのキャラクターたちが両津勘吉こと両さんと共演するコラボ短編集だ(各作品のイラストレーター陣が描く両さんも見どころである)。

 おそ松たち6兄弟と合コンに出かけたかと思えば、ファンタジー世界でドラゴンと戦い、タイガー戦車で戦車道に挑んだ次は、チアリーディングを始め……といつもどおりハチャメチャな両さんだが、吹奏楽部の高校生の前では頼りになる大人の姿を見せる。大富豪の令嬢で警官という設定を同じくする『こち亀』の麗子と『謎解き…』の麗子、ふたりの麗子が共演するエピソードも楽しい。ジャンルもテイストもまったく違う作品に出演しつつ、どの作品もきちんと『こち亀』になっているあたり、さすがは両さんである。

 ちなみに『こち亀』小説コラボ企画は、これが第2弾。10年前の30周年記念の際、60周年を迎えた日本推理作家協会とのコラボで、大沢在昌、逢坂剛、今野敏、東野圭吾、石田衣良、京極夏彦、柴田よしきによる『小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社文庫・700円)が刊行されている。購入の際は2冊一緒にどうぞ。今後もこうした企画は続いてほしいところ。両さんは次は誰と何をやらかすか、想像が広がるのである。

(ライター)


 ▼プロフィール
 まえじま・さとし  82年生まれ。『セカイ系とは何か』


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