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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2015

 

ベルマーク版 オーサー・ビジット

頭の中から羽ばたくペット
作家・あさのあつこさん@豊橋市立旭小(愛知)


作家・あさのあつこさん

 「小学6年生、あなどれないわ!」。小説家のあさのあつこさんは授業前、宿題に出していた「架空のペット」の絵を見るや、その発想の豊かさに思わず声をあげた。

 人魚とユニコーンのハーフ、変身するとマッチョな体になる小型犬、翼で空を飛ぶこともできるブルドーザー型ロボットなど、画用紙の一枚一枚に想像上のペットたちが生き生きと描かれていた。

 授業では、自分のペットに名前をつけて説明文を書く。それを班ごとに読み合い、代表作を選んだら発表だ。「登場人物の名前が決まったら物語の3割はできたも同然」とあさのさん。

 あさのさんも朝日新聞連載の小説「ぼくがきみを殺すまで」で、主人公にLという名前をつけていた。その記号めいた名前は人を物のように扱う非情な世界の物語を予感させた。

 いざ発表。三浦雄一郎くんのペットは「生前、誰にも相手にされなかった人の霊」。「れい君」と名づけられたことで、霊といっても怖くない、友だちみたい、そんな想像が広がった。


 筧優芽(かけひゆめ)さんのほうきにまたがった「よう子」は全長15センチ。魔女と妖精を両親にもち、虹を出して幸せを配るという。

 みんなのペットの思いがけない特徴にわく教室にあさのさん、「どこにもいないのに、いるように感じた。そういう文章が書けるってすごいこと」。実力ありと見て、ペットとの会話を作文しようと提案した。

授業風景

 たちまち鉛筆を手に、書いては見せ合う。それくらいクラスは仲がいい。発表では今泉叶(とあ)くんの巨大亀との会話を選んだ班が、飼い主だけにわかる謎のペット語「ぼ、ぼ、ぼー」の表現に四苦八苦、爆笑を誘う。

 最後にあさのさんは、「見えているものを書くほうが実は簡単」と説いた。「見えないものをさらっと書いたみなさんには、創作の力がある」。自信を持っていいと、卒業していく児童たちの背中を押した。

(ライター・安里麻理子 写真家・吉永考宏)


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★ 授業を終えて ★

 ◆ 奈良田悠喜くん
 「今回の宿題のように考えたことがある。でも、みんなのペットが予想以上でびっくり」

 ◆ 鈴木菜月さん
 「ペットに会話させるには設定から考える必要があって、そこがむずかしかった」


 ◆ あさのさん
 「現実と想像の枠を取り払ってみようと思いました。自分がいる世界だけがすべてじゃない、そう感じてもらえたらうれしいです」


 【豊橋市立旭小】
 愛知県豊橋市、全校166人、鳥居孝三校長。6年い組の25人が授業を受けた。担当は山崎道子先生(昨年10月開催)。

 

★ あさのあつこさんの本 ★

透き通った風が吹いて

『透き通った風が吹いて』        
[出版社] 文芸春秋
[価 格] 1,188円

闇に咲く おいち不思議がたり

『闇に咲く おいち不思議がたり』
[出版社] PHP研究所
[価 格] 1,728円


NO.6(全9巻)

『NO.6(全9巻) 』     
[出版社] 講談社文庫
[価 格] 514~583円

バッテリー(全6巻)

『バッテリー(全6巻)』        
[出版社] 角川文庫
[価 格] 514~596円


ミヤマ物語

『ミヤマ物語』1、2    
[出版社] 角川つばさ文庫
[価 格] 713円、821円

 

 

あさのあつこ(作家)

あさのあつこ(作家)


1954年岡山県生まれ。1991年作家デビュー。代表作「バッテリー」シリーズ(小学館児童出版文化賞)は、映画やテレビドラマでも人気に。他にも「The MANZAI」「NO.6」「燦」シリーズ、近著に『敗者たちの季節』(KADOKAWA/角川書店)や『桜舞う』(PHP文芸文庫)まで著書多数。青春小説から時代小説、ミステリーまで、幅広く手がける。

 

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