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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2015

 

テロ、なぜ生まれるのか
ジャーナリスト・池上彰さん@目黒区立東山中(東京)


ジャーナリスト 池上彰さん

 世界を震えさせたパリ同時テロ。ジャーナリストの池上彰さんが東山中2年A組の教室を訪れると、「なぜフランスだったのか?」「『イスラム国』(IS)は何がしたかったんだろう」と、次々に疑問が飛び出した。

 ISがフランスをねらった背景や思惑を解説すると、1人の生徒から新たな質問が。「そもそも『イスラム国』ってなんでできたんですか?」

 「いい質問だね!」と池上さん。2001年の米国同時多発テロをきっかけに米国はイラクを攻撃、フセイン政権を倒したが、戦後処理に失敗して国家が崩壊。「米国やその仲間のせい」と考えた人たちが小さな過激集団を作り、さらに隣国シリアの内戦に乗じて支配を広げていった。ISが生まれた経緯を説明した池上さんは、こう問いかけた。「彼らはなぜ、無差別にたくさんの人を殺すような過激な考え方になってしまったのか?」


授業風景

 話はイスラム教の誕生からコーランへ。「コーランには、ユダヤ教徒もキリスト教徒も同じ神様からの聖書を信じる『啓典の民』で、大切にしなければならないとある。自爆テロが頻発してるけど自殺は禁じられている。つまり過激な行為をする人たちは、実はコーランを読んでいない、あるいは都合のいい解釈をしている、ということなんだよね」。フランスでテロを起こしたような移民やその2世は、仕事にも就けず、貧しさゆえにきちんと教育を受けていない人が少なくない。差別も受けるなどで自分の存在価値が見いだせない中、「殉教すれば天国に行ける」なんて誤った解釈の教えに触れたら……。「残念ながら今すぐテロをなくす方法はありません」と池上さん。そして、こんな考えを示した。

 「今は軍事力などで無理やり抑えつけるしかできないけれど、貧富の差に関係なく平等の教育を広げていくことが、10年後、20年後のテロを防ぐことにつながるんじゃないだろうか」

(ライター・中津海麻子 写真家・首藤幹夫)

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★ 授業を終えて ★

 ◆ 山根智生くん
 「テロと宗教の関係がわかり、そうだったのか!と思いました」

 ◆ 菊地照実さん
 「ニュースを見ても何となくしかわからず、モヤモヤしていたことがクリアになりました」


 ◆ 池上さん
 「伝えたかったのは、『君たちは恵まれている』ということ。世界には勉強したくてもできない子どもがたくさんいることをしっかりと心にとめて歩んでいってほしい」


 【目黒区立東山中】
 東京都目黒区、全校468人、片柳博文校長。授業を受けたのは2年A組の39人、担任は菊地康一先生(昨年11月開催)。

 

★ 池上彰さんの本 ★

日本は本当に戦争する国になるのか?

『日本は本当に戦争する国になるのか?』
[出版社] SB新書
[価 格] 864円

池上彰の世界の見方

『池上彰の世界の見方』
[出版社] 小学館
[価 格] 1,512円

超訳 日本国憲法

『超訳 日本国憲法』
[出版社] 新潮新書
[価 格] 842円

池上彰が世界の知性に聞く どうなっている日本経済、世界の危機

『池上彰が世界の知性に聞く
どうなっている日本経済、世界の危機』

[出版社] 文芸春秋
[価 格] 1,404円

おとなの教養

『おとなの教養』
[出版社] NHK出版新書
[価 格] 842円

 

 

池上彰 (ジャーナリスト)

池上彰 (ジャーナリスト)


いけがみ・あきら 1950年長野県生まれ。東京工業大学教授。NHK記者出身で、「週刊こどもニュース」の初代「お父さん」役を務め、わかりやすいニュース解説で大人にも人気に。テレビ、新聞、出版などで幅広く活躍。『いま、君たちに一番伝えたいこと』(日本経済新聞出版社)、『超訳 日本国憲法』(新潮新書)、『この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇』(文芸春秋)など著書多数。

 

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