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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2015

 

カメラ主人公に童話32通り
作家・森絵都さん@宮崎第一高(宮崎)


作家・森絵都さん

 作家の森絵都さんの授業は、原稿用紙3枚分の童話を書くこと。主人公は人間以外の何かで、擬人化された同じ主人公を使って、クラス全員が自分なりのお話を考える。

 「文章には内面がすごく表れるの。主人公は同じでも、書く人が違えば、32通りの童話ができるんです」

 まずはクラスで一つ、主人公を決める相談だ。字が上手な人を森さんがたずねると、みんなが一人の男子生徒を指名した。

 「じゃあ、黒板にみんなが宿題で考えてきた主人公候補を書き出してね」

 ピアノ、時計、月、消しゴム、豆腐など主人公候補が黒板にずらりと並んだ。


 「私は黒板がいいです。いろいろなことを書かれるけど、消されるところが、人間の記憶と似ています」

 「僕はセミ。短い人生だけど楽しそう」

 友だちの意見を聞いていると、他の主人公もいいなと思えてくる。投票の結果、主人公はカメラに決まった。次はストーリーづくりだ。

 原稿用紙の余白にあらすじを書いたり、裏に絵を描いてみたり、お話の作り方もみんなそれぞれ違う。

 森さんは質問に答えたり、「他の登場人物に出会うのも物語になります。主人公の気持ちをとことん掘り下げるのもいいよね」とヒントをくれたり。そのヒントに想像力を刺激され、話をもっと面白くしたくなる。

 最後はあらすじの発表だ。

授業風景

 「カメラとクモがケンカしながらも仲良しなんです」

 「家族の成長を記録していたカメラがスマホに追いやられ、役割に悩むんです。でも、時計に励まされ、頑張ろうと思い直すんです」

 カメラと鏡が人間のわがままにうんざりしたり、フィルムカメラとデジカメがケンカしたり、本編が読みたくなる話ばかりだ。

 「どれもすてき。童話にまとめる作業は宿題にします。完成したら、ぜひ読ませてくださいね。楽しみです」

 (ライター・角田奈穂子 写真家・白谷達也)

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★ 授業を終えて ★

 ◆ 尾崎沙也花さん
 「みんなの主人公を聞いて発想が広がりました。物語を書くのは根気がいるんですね」

 ◆ 本田瑛之くん
 「森さんが真剣に聞いてくれてうれしかった。擬人化は難しいけど、物の見方が広がった」


 ◆ 森さん
 「カメラはとてもいい主人公です。私の想像以上に物語に入り込み、積極的に発言してくれたり、個性的なお話を作ってくれたり楽しい授業でした」」


 【宮崎第一高】
 宮崎市、全校生徒1267人、関紀洋校長、授業は文理科2年4組32人が参加。担当は神崎淳先生(昨年11月開催)。

 

★ 森絵都さんの本 ★

カラフル

『カラフル』        
[出版社] 文春文庫
[価 格] 551円

DIVE!! 上・下

『DIVE!! 上・下』
[出版社] 角川文庫
[価 格] 各596円


風に舞いあがるビニールシート

『風に舞いあがる
 ビニールシート 』     

[出版社] 文春文庫
[価 格] 605円

永遠の出口

『永遠の出口』
[出版社] 集英社文庫
[価 格] 605円


クラスメイツ 前期・後期

『クラスメイツ 前期・後期』         
[出版社] 偕成社
[価 格] 各1,404円

 

 

森絵都(作家)

森絵都(作家)


もり・えと 1968年東京都生まれ。『つきのふね』(野間児童文芸賞。角川文庫)、『カラフル』(産経児童出版文化賞。文春文庫)、『DIVE!! 上・下』(小学館児童出版文化賞。角川文庫)、『風に舞いあがるビニールシート』(直木賞。文春文庫)など受賞作多数。近著に、中学生の同級24人の1年間を描いた『クラスメイツ 前期・後期』(偕成社)がある。

 

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