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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2015

 

ベルマーク版 オーサー・ビジット

「どうしたの?」で相手知って
教育評論家・尾木直樹さん@日立市立坂本中(茨城)


教育評論家・尾木直樹さん

 「こんにちは、尾木ママでーす」。教育評論家の尾木直樹さんがちゃめっけたっぷりにあいさつすると、体育館に集まった生徒たちは、ぐっと身を乗りだした。

 坂本中は2012年から生徒主導で、「IBI(いじめ撲滅委員会)」という活動を続けている。当時の1年生が上級生にきつい言葉を浴びせられたのがきっかけだ。

 「素晴らしい活動ね。そろそろ一人ひとりが、より高い目標を目指す時よ」

 いじめはそれぞれが自分事としてとらえなければ、解決できない。そう熟知する尾木さんは「いじめをなくすヒント」を独特の"おねえ言葉"で場を盛り上げながら伝えてゆく。

 実は尾木さんは事前に、いじめに関するアンケートを取っていた。注目したのは表面化せず、いじめにつながりやすいLINEを「やっている」「やりたい」生徒が過半数いたことだけでなく、IBIについて否定的な意見がわずかでもあったことだ。


 「人の感じ方はいろいろ。だから少数意見が大事なの。見逃さないで」

 例えばいじめを見た時、いじめられている子を気遣うばかりでなく、いじめている子の気持ちはどうなんだろうと、想像してみる。

授業風景

 「いじめっ子は親からプレッシャーを受けたり、兄弟と比べられたり、家庭でつらい思いをしている子が圧倒的なの。だから学校で友だちに当たっちゃう」

 いじめの加害者が無意識に乱暴してしまう心情を理解し、寄り添う"思いやり"を育んでほしいと願う尾木さん。「相手を理解するには"共感"が大事。いい言葉があるの」と具体例を紹介した。

 それはいじめっ子を見たら「どうしたの?」と話しかけること。決して責めない。すると相手は何か弁解するだろう。その時は「そりゃ、大変だったね」と優しく返す。これだけだ。

 「要はここ。ここが通い合えば、いじめなんて起きないの」、尾木さんが胸をポンとたたくと、隣同士、目と目を合わせた生徒たちはニコッと笑顔になった。

(ライター・吉岡秀子 写真家・御堂義乗)


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★ 授業を終えて ★

 ◆ 小松勇登くん(3年)
 「困っている人には解決策より共感することが大切という話が新鮮だった」

 ◆ 赤津希さん(3年)
 「友だちでも家族でも、思いやりのある言葉で話そうという提案がすてき」


 ◆ 尾木さん
 「いじめに対する感度が高く、手応えがあった。LINEを使うルールをIBIで作るよう宿題を出したので、どう考え、実践するのか楽しみです」


 【日立市立坂本中】
 茨城県日立市、全校238人、澤畠明校長。授業を受けたのは全校生徒。担当は立花通治先生(昨年12月開催)。

 

★ 尾木直樹さんの本 ★

尾木ママ流「叱らない」子育て

『尾木ママ流「叱らない」子育て』
[出版社] 中経の文庫
[価 格] 605円

尾木ママの7つの人生力

『尾木ママの7つの人生力』
[出版社] 海竜社
[価 格] 1,296円


親子共依存

『親子共依存』     
[出版社] ポプラ新書
[価 格] 842円

尾木ママの女の子相談室

『尾木ママの女の子相談室』1、2
[出版社] ポプラポケット文庫
[価 格] 各702円


いじめ問題をどう克服するか

『いじめ問題をどう克服するか』
[出版社] 岩波新書
[価 格] 778円

 

尾木直樹(教育評論家・法政大学教授)

尾木直樹(教育評論家・法政大学教授)


おぎ・なおき 1947年滋賀県生まれ。法政大学教職課程センター長・教授。中学・高校教師として22年間ユニークで創造的な教育実践を展開。現在は「尾木ママ」の愛称で親しまれ、Eテレ「ウワサの保護者会」をはじめテレビなど多方面で活躍中。『「学び」という希望』(岩波ブックレット)、『親子共依存』(ポプラ新書)、『おしえて!尾木ママ 最新SNSの心得 全3巻』(図書館向け。ポプラ社)など著書多数。

 

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