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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2016

 

米大統領選の「なぜ」に迫る
ジャーナリスト・池上彰さん@川西町立川西中(山形)


ジャーナリスト・池上彰さん

 ドナルド・トランプ米大統領就任で、世界を困惑と混乱が襲っている。川西中2年2組でも「なぜ暴言を吐く人が大統領に?」と疑問が渦巻いていた。

 ジャーナリストの池上彰さんは米大統領選について、有権者投票により米国各州で勝利した候補者がその州に割り当てられた「大統領選挙人」を総取りする仕組みを説明。総得票数でヒラリー・クリントン陣営が290万票も上回ったのに、選挙人の数でトランプ陣営が勝ったと解説した。

 そもそもなぜトランプ氏が勝利できたのか。

 「日本の僕らからすれば暴言でも、移民に不満がある米国人は『トランプは正直でおもしろい』と、選挙に行ったことがない人まで投票した。反対に民主党支持者には『自分が行かなくてもどうせヒラリーが当選する』と投票に行かなかった人がたくさんいたんだ」

 そしてこう問いかけた。 「似たようなことが昨年、あったよね?」

 EU(欧州連合)離脱か残留かを問う英国の国民投票。移民の流入で仕事が奪われたと不満をもつ離脱派がこぞって投票。「残留は当然」と投票に行かない人が多かったため、予想を覆し離脱が決まったのだ。

 池上さんは、EUからの離脱を選択した英国のようにトランプ大統領は貿易や経済を閉鎖的にする「アンチグローバリズム」を進めようとしていると説明。中国からの輸入品に高い関税をかける、車を安く作れるメキシコから工場を撤退、国内に設けて自国の雇用を守る。新大統領の公約だ。

 「でも」と池上さん。工場を引き揚げたら職を失ったメキシコ人が貧困に陥り、不法移民はさらに増えるかも。中国産製品の価格が上がれば、米国の貧困層の暮らしはさらに苦しくなるかも。「生活がよくなると期待してトランプさんに投票したのに、むしろもっと悪くなる可能性がある」。そして、教育の大切さについてこう続けた。

 「長い目で見た時にどんな政策が国や国民のためになるのか。学ぶことで、正しい判断力を身につけられることを知ってほしい」

(ライター・中津海麻子 写真家・首藤幹夫)


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★ 授業を終えて ★

 ◆ 金子哲也さん
 「『どうせ何も変わらない』と選挙に行かないと、とんでもないことが起きる。選挙権を持ったら必ず投票に行きます」

 ◆ 沖野若菜さん
 「ニュースで見ていた内容とは違う見方、解説があり、驚きました。報道や情報を自分で判断できるようになりたい」


 ◆ 池上さん
 「なぜトランプみたいな人が?という疑問も、選挙の仕組み、教育格差など米国の事情を知ることで少し理解できたのでは。
  みんなの表情からも伝わってきました」


 【川西町立川西中】
 山形県川西町、全校399人、池田篤彦校長。授業を受けたのは2年2組の29人、担任は片倉裕子先生(1月開催)。

 

★ 池上彰さんの本 ★

一気にわかる! 池上彰の世界情勢2017 トランプ政権誕生編

『一気にわかる! 池上彰の世界情勢2017
トランプ政権誕生編』

[出版社] 毎日新聞出版
[価 格] 1,080円

おとなの教養

『おとなの教養』
[出版社] NHK出版新書
[価 格] 842円

池上彰の新聞ウラ読み、ナナメ読み

『池上彰の新聞ウラ読み、ナナメ読み』
[出版社] PHP文庫
[価 格] 713円

僕らが毎日やっている最強の読み方

『僕らが毎日やっている最強の読み方』
[著 者](共著)
[出版社] 東洋経済新報社
[価 格] 1,512円

書く力

『書く力』
[著 者](共著)
[出版社] 朝日新書
[価 格] 778円

 

 

池上彰 (ジャーナリスト)

池上彰 (ジャーナリスト)


いけがみ・あきら 1950年長野県生まれ。名城大学教授・東京工業大学リベラルアーツ研究教育院特命教授。NHK記者出身で、「週刊こどもニュース」の初代「お父さん」役を務め、わかりやすいニュース解説で大人にも人気に。テレビ、新聞、出版などで幅広く活躍。『いま、君たちに一番伝えたいこと』(日本経済新聞出版社)、『超訳 日本国憲法』(新潮新書)、『池上彰の世界の見方』(小学館)、『世界を動かす巨人たち<政治家編>』(集英社新書)など著書多数。

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