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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2016

 

いいの、いいの、大丈夫
教育評論家・尾木直樹さん@香川県立善通寺養護学校


教育評論家・尾木直樹さん

 「香川県は僕が高校時代を過ごした場所。呼んでもらえて、すごくうれしい」

 授業を受けるのは高等部の36人。緊張ぎみの生徒たちに話しかける教育評論家の尾木直樹さんの笑顔は温かい。

 「今日はみんなの悩みにいっぱい答えるね。まずは、『親に甘えたい欲求が抑えられない』……。うん、我慢しなくていいの。高校生でもどんどん甘えていいのよ」

 善通寺養護学校は病気の治療を続けながら通う生徒も多い。でも、悩みの中身は同世代の子たちと変わらない。理由もなくイライラしたり、学校をつまらなく感じたり、いじめられたことを思い出してつらくなる生徒もいる。完璧にこなせない自分を嫌ったり、養護学校に通っているせいかと悩んだりする生徒もいた。

 そんな悩みを「いいの、いいの」とすべて柔らかく受け止める尾木さん。居場所がどんどん広がっていくようだ。自分だけが悩んでいるのではないと教育の専門家に教えてもらうと、孤独感もやわらいでくる。

 「思春期はイライラして当たり前。高校生がおじいちゃんみたいに落ち着いていたら、ヘンでしょ」と尾木さん。暗い気持ちになったら、「尾木ママ・タッピングケア」をするといい。右手で左胸を軽くたたきながら、「大丈夫、大丈夫」とつぶやくのだ。

 「声を出して自分に言い聞かせることが大事。1日のおしまいにお風呂で『よくがんばったね』ってほめてあげるのもいいのよ。自分をもっと認めてあげて」

 イライラしたり、落ち込んだりしたときは、その気持ちと戦わないこと、とも言う。毎日、まずは目の前にあるものに一生懸命取り組むと、いつの間にかネガティブな気持ちが消えて、もっと楽しいことで心がいっぱいになるからだ。

 「どんな人でも生活する力や楽しむ力を持っているから、必要以上にがんばらなくてもいい。笑顔を大事にしてね。笑顔は人を幸せにするだけじゃなく、自分も元気にしてくれるのよ」

(ライター・角田奈穂子 写真家・吉永考宏)


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★ 授業を終えて ★

 ◆ 宇田汰市(たいち)さん(3年)
 「心の状態がよく分からないことがあっても、悪いことじゃないと分かって安心しました」

 ◆ 白川健太さん(2年)
 「高校時代に授業をボイコットしたことがある尾木ママの話が面白かったです」


 ◆ 尾木さん
 「『ありのままの自分を愛して欲しい』というメッセージが伝わったと実感できました。
   みんな素直な気持ちを表現してくれてうれしかったです」


 【香川県立善通寺養護学校】
 香川県善通寺市、小、中、高等部合わせて130人、織田潤二校長。担当は富田義郎先生(昨年10月開催)。

 

★ 尾木直樹さんの本 ★


取り残される日本の教育

『取り残される日本の教育』
[出版社] 講談社+α新書
[価 格] 907円

本物の学力・人間力がつく 尾木ママ流自然教育論

『本物の学力・人間力がつく
 尾木ママ流自然教育論』

[出版社] 山と渓谷社
[価 格] 1,296円

尾木ママの叱らずしつけ 21のコツ

『尾木ママの叱らずしつけ 21のコツ』
[出版社] 主婦の友社
[価 格] 1,080円

しつけない道徳

『しつけない道徳』
[出版社] 主婦と生活社
[価 格] 1,080円

尾木ママ流 凹(へこ)まない生き方

『尾木ママ流
 凹(へこ)まない生き方』

[出版社] 中経の文庫
[価 格] 648円

 

 

尾木直樹(教育評論家・法政大学教授)

尾木直樹(教育評論家・法政大学教授)


おぎ・なおき 1947年滋賀県生まれ。法政大学教職課程センター長・教授。中学・高校教師として22年間ユニークで創造的な教育実践を展開。現在は「尾木ママ」の愛称で親しまれ、Eテレ「ウワサの保護者会」をはじめ、テレビなど多方面で活躍。社会的な事件や現象に対するオフィシャルブログでの迅速な提言・苦言も話題に。『「学び」という希望』(岩波ブックレット)、『親子共依存』(ポプラ新書)など著書多数。「ビジットを通して、いじめ問題やみんなの悩みを一緒に考えましょう」(尾木さん)

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