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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2014

 

じっくり見て、美を創造
 華道家・假屋崎省吾(かりやざきしょうご)さん@松江市立津田小(島根)


 「平成の花咲かじじいでーす」。ランドセルを背負い、ボタンの花束を抱えて教壇に立った華道家の假屋崎省吾さん。「生け花に必要なのは、お花、器、水、生ける場所、生ける人」と、白い器を取り出した。

 「生ける過程もよく見ていてね」と、子どもたちに笑顔を向け、枯れ枝の間を埋めるように白、薄紅、濃紫のボタンを次々挿していく。中心には一段と鮮やかな朱色のボタンを生けた。ボタンの園の誕生に歓声が上がる。「お花にはみんなを元気にするパワーがあるのよ。香りも奇麗でしょ」

 「自然界が生んだ美から自分の手で新しい美を想像し、創造するのが生け花」と假屋崎さん。最初の課題はチューリップのスケッチ。じっくり観察し、発見を促すのが狙いだ。子どもたちは10分間集中して花に向き合い、葉の付き方や花弁の筋まで丁寧に画用紙に写し取る。「何か気付いた?」と假屋崎さんが問いかけると、「同じ葉っぱでも、色の濃い薄いがある」「花びらの外側のほうが色が濃い」と、子どもたちは声を弾ませた。

 いよいよチューリップを自宅から持ち寄ったコップや瓶に生ける。「大切なのが『水切り』。水の中で茎を切ると、お花が長持ちするの。他に決まりはありません。自由に生けてね」。みんなの手元を見守りつつ「花の向きが元気な感じ」「器と葉っぱの色に、一体感があってステキ」と、假屋崎さんが一人ひとりに声をかけると、おずおず花に触れていた子も、花弁を広げたり、葉を丸めたり、次第に手が大胆になった。

 マグカップの縁からアーチを描くチューリップ、ペットボトルからスラリと立つチューリップ……。完成した32作品を前に、「一つも同じものがない。素晴らしいわ!」と假屋崎さん。まさに「世界に一つだけの花」を生み出した子どもたちの手に称賛を贈った。

(ライター・岡沢香寿美 写真家・御堂義乗)

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★ 授業を終えて ★

 ◆ 大場千聡さん
 「いろんな角度から見てお花の一番良いところを見つけて生けるのが、難しいけど面白かったです」

 ◆ 角南(すなみ)博紀さん
 「世界にたった一つの生け花を、自分の手で作れちゃったなんてすごすぎる!」


 ◆ 假屋崎さん
 「お花を生ける家庭が減ったように感じます。利便性や効率ばかりに捕らわれては、心のゆとりが無くなる。子どもたちには、美しいものに触れ、美をめでる心を育んでいってほしいですね」


 【松江市立津田小(島根)】
 松江市、全校721人、松本一志校長。授業には4年2組32人が参加。ボタンは市内の日本庭園「由志園」から届けられた。担当は内田美恵子先生。

 


★ 假屋崎省吾さんの本 ★

一世一代のブーケ

『一世一代のブーケ』   
[出版社] 講談社
[価 格] 1,728円

假屋崎省吾の世界作品集

『假屋崎省吾の世界作品集』
[出版社] 山と渓谷社
[価 格] 3,456円


花暦

『花暦』           
[出版社] メディアファクトリー
[価 格] 3,024円

花筐

『花筐』
[出版社] メディアファクトリー
[価 格] 3,024円


假屋崎省吾の百花絢爛

『假屋崎省吾の百花絢爛』  
[出版社] 講談社
[価 格] 1,620円

 

假屋崎省吾 (華道家)

假屋崎省吾 (華道家)


かりやざき・しょうご 1958年生まれ。
花と歴史的建築物とのコラボとなる個展や着物のデザイン・プロデュースなど、国内外で活動の場を広げている。
著書に『自分の世界をもちなさい』(PHP研究所)など

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