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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2014

 

「つらい時はあごを上げて」
 落語家・桂文我さん@大船渡市立日頃市小(岩手)


 鮮やかな紫の着物を着た落語家の桂文我さんが高座に上がると、その瞬間、音楽室は寄席に変わった。

 「山の中のさらに山のむちゃくちゃ奥に権兵衛さんという人が住んでいました」。文我さんはさっそく語り始めた。小学校を囲む豊かな自然を眺め、口からすっと出てきたのは「権兵衛狸(だぬき)」。権兵衛さんと若い佐助、狸とのやりとりが楽しい落語だ。

 軽妙な会話、羊羹(ようかん)を食べお茶を飲むユーモラスなしぐさにたちまち子どもたちは引き込まれた。笑い転げたり、トントントンと床をたたく扇子の動きと一緒にうなずいてしまったり、文我さんの声に誘われるように子どもたちの体が右へ左へ波のように揺れる。

 落語の合間はクイズ。
 「一番短い落語は何分くらいだと思う?」
 「3分?」
 「カップラーメンやな」

 子どもたちは落語絵本を読み、昼休みの校内放送で落語を聞いて、予習してきた。次々と手が挙がる。文我さんとのやりとりはまるで大喜利のようだ。うどんを食べるしぐさをまねてみたり、手ぬぐいを焼き芋に見立て、ガブッと食べてみたり、落語独特の体の動かし方を覚えるのも楽しい。

 文我さんは落語もたくさん語ってくれた。丁稚(でっち)の定吉がおつかいにいく話では、いいかげんな大人たちに振り回されてハラハラドキドキ。まるで自分が定吉になったよう。無事に解決したときは、「あー、よかった」とほっとする。

 小学生のときには落語家になろうと考えていた文我さん。みんなに楽しい毎日を送って欲しい、というメッセージで授業を終えた。

 「つらくなったら無理やりでもあごを上げてみよう。好きな色を思い浮かべるのもいいよね。今日の授業も楽しい思い出になってくれたらうれしいです」

(ライター・角田奈穂子 写真家・首藤幹夫)

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★ 授業を終えて ★

 ◆ 鈴木裕大(ゆうだい)さん(4年)
 「しぐさが本物みたいですごい。いつか落語のようなお話を作ってみたいです」

 ◆ 新沼杏珠(あず)さん(3年)
 「生の落語は初めて。面白かった。でも、自分でやるより聞くほうがいいな」


 ◆ 文我さん
 「とても素直に聞いてくれて、私も楽しく遊ばせてもらいました。落語は一人で語っているように思われますが、聞いてくれる人と一緒になって作るものなんですよ」


 【大船渡市立日頃市小】
 岩手県大船渡市、全校67人、菅野義則校長。授業には3、4年生26人が参加。担当は今野利恵子、平田美紀両先生。

 


★ 桂文我さんの本 ★

落語まんが・じごくごくらく伊勢まいり

『落語まんが・じごくごくらく伊勢まいり』 
[出版社]童心社
[価 格]1,296円

喜六と清八 大笑いお伊勢参り

『喜六と清八 大笑いお伊勢参り』
[出版社]三月書房
[価 格]1,404円


らくごCD絵本 おやこ寄席

『らくごCD絵本 おやこ寄席』      
[出版社]小学館
[価 格]1,728円

おもしろ落語絵本 ごくらくらくご

『おもしろ落語絵本
 ごくらくらくご』

全2巻
[出版社]小学館
[価 格]各1,620円


ほうれんそうはないています

『上方落語「東の旅」通し口演 伊勢参宮神賑』
[出版社]青蛙房
[価 格]3,024円

 

 

桂文我 (落語家)

桂文我 (落語家)


かつら・ぶんが 1960年生まれ。
1960年生まれ。79年、二代目桂枝雀に入門、95年に四代目桂文我を襲名した。子ども向けの「おやこ寄席」は22年目になる。著書に『ようこそ!おやこ寄席へ』(岩崎書店)など。

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