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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2014

 

『下書きせず「夢」描く』
 絵本作家・宮西達也さん@伊那市立東部中(長野)


 「さっそく、ぼくの絵本を読んでみよう」。絵本作家の宮西達也さんは、緊張気味の生徒たちに向かって明るく話しかけた。

 『はーい!』『うんこ』『おっぱい』……。ユニークな絵本のページを見せながら声色を変えたり、冗談を交えたり。宮西さんの"熱演"に生徒たちの反応が大きくなっていく。

 「ほら、自分で読むのも楽しいけれど、人に読んであげることも面白いだろ」

 絵本の楽しみ方はいろいろだ。そう伝えた宮西さんは本題を切り出した。

 「絵本を作ろう」

 「えーっ、できるかな」と声を上げる生徒たち。その不安を吹き飛ばすように、宮西さんはてきぱきと絵本の書き方、作り方を説明していく。

 テーマは「自分」。中学1年生の「私」や「ぼく」が、どんなことに熱中し、どんなふうに友だちと関わり、将来はどんな職業についているかを絵と言葉で表現しようという試みだ。

 絵本を作るにあたって、一つのルールを作った。「消しゴムを使わないこと」。下書きせずに、思い切って描くことで、自分らしさが絵や字に宿る。

 いざ鉛筆を持つと、生徒の多くがウンウンうなりだした。ふだん自分を客観的に見たり、将来についてしっかり考えたりする経験がないからだ。

 実は、ここが授業のポイント。絵本を完成させることは、自分の「未来図」を描くことになる。自然と自分の「夢」に気づくというしかけだ。

 今は部活に一生懸命だけれど、大人になったら「医者の先生と呼ばれたい」や「ネイルアーティストになりたい」など、生徒たちの隠れていた夢が、次々と顔を出してきた。

 「夢がかなわない方法を教えてあげる。諦めちゃうことと、努力しないことだよ」。宮西流のエールに、みんな笑顔でうなずいた。

(ライター・吉岡秀子 写真家・吉永考宏)

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★ 授業を終えて ★

 ◆ 立林葵さん
 「消しゴムを使えないと思うと一気に線を引くことができ、大胆な絵が描けて楽しかった」

 ◆ 手塚真士(まなと)さん
 「将来の姿を描くのは難しかったが、どんな仕事をしたいか考えるきっかけになりました」


 ◆ 宮西さん
 「今は夢を持っている子どもが少ない。絵本づくりを通して、自分の未来を考える楽しさを教えたかった。みんな、もっと個性を出していいんだよ」


 【伊那市立東部中】
 長野県伊那市、全校865人、池口正博校長。授業を受けたのは1年2組の33人。担当は大森祐子先生。

 


★ 宮西達さんの本 ★

おまえうまそうだな

『おまえうまそうだな』        
[出版社] ポプラ社
[価 格] 1,296円

にゃーご

『にゃーご』
[出版社] 鈴木出版
[価 格] 1,296円


おかあさんだいすきだよ

『おかあさんだいすきだよ』     
[出版社] 金の星社
[価 格] 1,296円

ニンジャさるとびすすけ

『ニンジャさるとびすすけ』
[出版社] ほるぷ出版
[価 格] 1,296円


シニガミさん

『シニガミさん』         
[出版社] えほんの杜
[価 格] 1,028円

 

 

宮西達也 (絵本作家)

宮西達也 (絵本作家)


みやにし・たつや 1956年生まれ。
『きょうはなんてうんがいいんだろう』で講談社出版文化賞絵本賞、『ふしぎなキャンディーやさん』で日本絵本賞読者賞。『おまえうまそうだな』は劇場アニメ化された。

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