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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2014

 

虫にも魚にも奥深い秘密
 生物研究家・盛口満さん@静岡県立中央特別支援学校


 「ゲッチョ先生」の愛称を持つ生物研究家の盛口満さんがプラスチックケースを取り出した。茶褐色の大きい虫の標本だ。

 「沖縄のゴキブリです。かわいいよね」

 「えー!」「やだー!」

 みんなに嫌われている虫の話から始まった授業だが、盛口さんの昆虫愛に満ちた語り口は楽しげだ。ムカデやタランチュラ、サソリなど、手品のように出てくる珍しい標本にどんどん引き込まれていく。

 「ゴキブリ、ムカデ、クモ、ダンゴムシ。この中にサソリの仲間、カニの仲間がいます。どれかな」

 頭を悩ませる生徒たち。なんとサソリの仲間はクモ、カニの仲間はダンゴムシだった。体節ごとに一対の脚があるという節足動物の体づくりの基本ルールから、ルール変化の過程をたどっていくと、思わぬ種類同士が近かったりする。

 盛口さんは魚と人間にも共通の部分があると言う。魚から人間が進化してきたからだ。

 「大昔の魚は、口が開きっ放しだった。やがて一番前のエラの骨が変化して、上下にとじるアゴになった。さらに魚が陸上生活を始めるようになると、残りのエラはなくなって、そこに首ができたんだ」

 盛口さんは、そう言いながら次々にいろいろな動物たちの骨を見せ始めた。

 「骨は身近なところでも見つけられるよ。たとえば僕の生徒には、フライドチキンの骨を集めて、何ピースあれば一羽の鶏になるかを調べた子もいたよ」

 中央特別支援学校の生徒たちは体の動きに制限があるため、なかなか活発に外に出られない。だからこそ、盛口さんに昆虫や魚の話を聞きたいとラブコールしてきた。でも、盛口さんの話で、身近な虫や魚もじっくり観察してみれば、ワクワクする奥深い秘密が隠されてるって分かった。やっぱり生き物って面白い。

(ライター・角田奈穂子 写真家・白谷達也)

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★ 授業を終えて ★

 ◆ 望月俊介さん(2年)
 「田舎住まいなので虫はよく触りますが、クモとサソリが同じ仲間と聞いて驚きました」

 ◆ 大村春彦さん(3年)
 「ウマの骨がいかにも速そうで格好良かったです」


 ◆ 盛口さん
 「生徒の反応が楽しかった。体づくりのルールを知っていると物の見方が変わり、嫌いだったものにも興味が湧きます。自他の違いに敏感になる中学生だからこそ知って欲しいと思いました」


 【静岡県立中央特別支援学校】
 静岡市、全校233人、望月導章校長。授業には中学1~3年の5人が参加。担当は大木智美先生。

 


★ 盛口満さんの本 ★

食べて始まる食卓のホネ探検

『食べて始まる食卓のホネ探検』  
[出版社] 少年写真新聞社
[価 格] 1,944円

イヤムシずかん

『イヤムシずかん』
[出版社] ハッピーオウル社
[価 格] 1,620円

骨の学校

『骨の学校』
共著
[出版社] 木魂社
[価 格] 1,836円

昆虫の描き方:自然観察の技法Ⅱ

『昆虫の描き方:自然観察の技法Ⅱ』
[出版社] 東京大学出版会
[価 格] 2,376円

見てびっくり野菜の植物学

『見てびっくり野菜の植物学』
[出版社] 少年写真新聞社
[価 格] 1,944円

 

 

盛口満 (生物研究家)

盛口満 (生物研究家)


もりぐち・みつる 1962年生まれ。
中・高校の理科教員を経て、沖縄大学人文学部こども文化学科教授。精密なイラストにも定評。
愛称「ゲッチョ先生」。近著に『食べて始まる食卓のホネ探検』(少年写真新聞社)。

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