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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2014

 

感じるまま、曲を言葉で表現
 ピアニスト・仲道郁代さん@愛媛県立伊予高


 音楽室のスクリーンに1枚の絵画が映し出される。ダビンチの「モナリザ」。

 「この絵の女性、何て言ってると思う?」。ピアニストの仲道郁代さんは、問いかけた。
 「こんにちは」? 「私、きれい」? 少し戸惑った様子の生徒たちに、すぐさま次の課題。

 「同じことを音楽でやってみよう。これから弾く曲が語りかけるものを感じ、タイトルをつけてみて」。仲道さんがエルガー「愛のあいさつ」を奏でると、静かだった音楽室の空気が一気に動き出した。旋律に触発され、「人生」「いとしき人との時間」「光と闇」と、思い思いのタイトルが生徒たちから飛び出す。

 「同じ曲なのにみんな違う。おもしろいね」と仲道さん。「それぞれの解釈があって、正解も間違いもない。それが芸術なんです」

 絵や音楽で感じたことを言葉で表現する。この日授業を受けた図書委員会の生徒たちに、仲道さんが用意したスペシャルプログラムだ。終盤にはこんな課題が出された。「次に弾く曲から連想した世界を、ひとつの作品にしてみよう」

 流れたのはドビュッシー「版画」より「グラナダの夕べ」。神秘的な旋律に始まり、速さと穏やかさが融合する表情豊かな曲調だ。感じるまま言葉を書き連ねる人、じっと考え込む人、絵で表現を試みる生徒も。

 20分後、いったん集めた作品をバラバラに配り、手元に来た誰かの作品にタイトルをつける。亡き妻との日々を語る老人の物語は「純愛」と名付けられた。白紙のままの「作品」を手にした生徒はそれを「万物」と題した。

 「絵や音楽だけでなく、友達との触れ合いでも色んなことを感じながらみんな生きている。それが何なのか、言葉にしてみて。人間は言葉なくして考えることはできない。自分で見つけた言葉は、前に進む道標になるはずだから」

(ライター・中津海麻子 写真家・御堂義乗)

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★ 授業を終えて ★

 ◆ 森田志津佳さん(1年)
 「音楽の印象を作品にするのは難しかったけれど、ひとつイメージが浮かぶと次々と言葉が出てきました」

 ◆ 藤原左門さん(3年)
 「同じ曲なのに友達が意外な感じ方をしていた。仲間同士でも思いを言葉で伝える大切さを学びました」


 ◆ 仲道さん
 「思ったことを表現するのが少し恥ずかしそうだったけれど、出てきた言葉の多彩さ、豊かさにビックリ。物事を深く受けとめていることが伝わってきました」


 【愛媛県立伊予高】
 愛媛県松前町、全校925人、神山一郎校長。授業を受けたのは図書委員会の32人、担当は野本淳哉先生。

 


★ 仲道郁代さんの本とCD ★

ピアニストはおもしろい

『ピアニストはおもしろい』        
[出版社] 春秋社
[価 格] 2,160円

CDでわかる ベートーヴェン鍵盤の宇宙

『CDでわかる ベートーヴェン鍵盤の宇宙』
[出版社] ナツメ社
[価 格] 1,944円

CDでわかる ショパン鍵盤のミステリー

『CDでわかる ショパン鍵盤のミステリー』
[出版社] ナツメ社
[価 格] 1,944円

CDでわかる ピアノの名器と名曲

『CDでわかる ピアノの名器と名曲』
[出版社] ナツメ社
[価 格] 2,160円

CD『cé leste 仲道郁代愛奏曲集』

CD『cé leste 仲道郁代愛奏曲集』
[出版社] ソニー・ミュージック
[価 格] 2,592円

 

 

仲道郁代 (ピアニスト)

仲道郁代 (ピアニスト)


なかみち・いくよ 大学1年で日本音楽コンクール1位。
1987年本格デビュー。世界的に活躍しながら、子ども向けの企画にも力を入れる。
編著書に『CDでわかる ベートーヴェン鍵盤の宇宙』(ナツメ社)など。

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