どくしょ応援団

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オーサー・ビジット

オーサー・ビジット校外編

◆登場人物、作ってみたよ 綿矢りささん@ふたば書房 FUTABA+京都マルイ店(京都)

参加者の質問に答える綿矢りささん

 10代のための読書会「オーサー・ビジット校外編」(主催・朝日新聞社、出版文化産業振興財団。協力・ふたば書房、京都マルイ)の第14回が、作家の綿矢りささんを迎え、京都市のふたば書房「FUTABA+京都マルイ店」で開かれました。綿矢さんの芥川賞受賞作品『蹴りたい背中』を読んだ参加者39人は世代ごとの班に分かれ、読書会に臨みました。

 クラスの中で仲良しグループに入るには、つまらない話題も面白がって自分を繕わなければならない。それが嫌でクラスの余り者になった女子高生「ハツ」は、ふとしたことから、同じく余り者の男子「にな川」に家に招かれる。そこで教室とは違うにな川の一面を見たハツは、ある衝動に駆られる。『蹴りたい背中』は、「余り者」高校生同士の微妙な共感と反発が描かれている。

 女子高生が集まった班では、作品中の印象に残った文章や表現を挙げて盛り上がるうち、いつしか自分たちの友達付き合いについて語り始めた。

 「グループの誰かが言ったことにめっちゃ笑いながら、心の中では早く休み時間終わらないかなぁって思うこと、ある」。その発言にうなずきながらも、別の女子は「そういうときに空気読めない態度すると、ハミられる原因にならへん?」。ハミる、とは仲間外れにすること。ハツに同調しながらも、本当はさみしさを感じているハツのようになるのは怖い――。作品を通して場を共有したからこそ、初対面同士でも口にできた「本音」かもしれない。



 読書会の途中で、「班のみんなでハツとにな川の新しいクラスメートを考える」という課題が出された。

 キャラクターの作り方は様々だ。男女混合のある班はイメージ先行型。「モヒカンでアゴが割れている男子」の似顔絵を描き、それを元に「見た目が怖いが根はいいヤツ。ハツと中学時代に付き合っていた」と設定した。一方、女子だけの班は、ピリ辛トークに花が咲く。「クラスの中心的グループのちょっとイケメンだけど、いつもリーダーと一緒で一人じゃ何もできへんヤツ」「でも、自分の彼女だけには超強気とか」「そういう男子、おるおる!」

 各班が発表した個性あふれる新キャラに、「ハツに元カレがいたんや!」「屈折した内面まで深く掘り下げてるなぁ」と、綿矢さんは驚いたり感心したり。「小説を書いたのは私なのに、ハツとにな川のクラスの全体像が初めて見えた気がします」

 熱気のうちに読書会を終えた綿矢さんは、自らの経験を振り返りながら、若い読者にこんな言葉を贈った。

 「私は太宰治の作品に出会って小説を書いてみようと思った。心のツボにはまる1冊はすぐに見つからないかもしれないけれど、根気よく読み続けて。その先には新しい世界、新しい人生、新しい仲間との出会いが待っているから」

 (ライター・中津海麻子 写真家・御堂義乗)

北井魁さん(高3)

「フィクションの中でもウソは書かない、という言葉が印象的でした」

石川ミラさん(高2)

「キャラ作りは難しかったけれど、ワイワイ盛り上がっておもしろかった」

綿矢さんの著書紹介
『蹴りたい背中』
出版社:
河出文庫
価格:
¥339(税込)

『かわいそうだね?』
出版社:
文芸春秋
価格:
¥1,365(税込)

『しょうがの味は熱い』
出版社:
文芸春秋
価格:
¥1,260(税込)

『憤死』
出版社:
河出書房新社
価格:
¥1,260(税込)

『大地のゲーム』
出版社:
新潮社
価格:
¥1,365(税込)
(31日発売予定)