どくしょ応援団

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オーサー・ビジット

オーサー・ビジット校外編

◆小説の先に広がる物語 森絵都さん オーサー・ビジット校外編

質問に答える森絵都さん

 10代のための読書会「オーサー・ビジット校外編」(朝日新聞社、出版文化産業振興財団主催)の第15回が、作家の森絵都さんを迎えて、東京のブックカフェ「マルノウチリーディングスタイル」で開かれました。小5〜高3の51人が、森さんの代表作の一つ『カラフル』を読んで、読書会に臨みました。

 生前に犯した罪で生まれ変われなくなったはずの「ぼく」の魂は、天上界の抽選に当たり下界に戻される。下界では、自殺を図った中学生・真の体を借り、真の家族や周囲の人たちと交流するが……。『カラフル』はこんなお話。

 「部活や勉強で忙しくなると、口うるさい母親がウザくて、つい反抗しちゃう」  女子中学生の班。一人がこんな本音を漏らすと「うちも」「あるある」と何人もが相づちを打つ。真が命を絶とうとした理由の一つは家族への嫌悪感。親への反抗心、モヤモヤと行き場のない感情に、同世代の参加者は共感するところがあるようだ。最初に発言した女子は、しかし、こう続けた。

 「『ぼく』は、真のことをひとごとだと冷静な目で見たから、真の母親の別の一面に気づくことができた。私もお母さんがどうしてうるさく言うのか、ちょっと別の目線で考えてみようかな、って」

 読書会には事前に宿題が出ていた。小説の終わりから9カ月後の秋の休日、登場人物がどこで何をしていたかを考える。必ず「お昼ごはんに何を食べたのか」を盛り込むこと。それを受け、森さんは、新たにこんな課題を出した。

 「みんなが考えてきた休日のお昼ごはんにまつわる物語から、班で話し合ってイチオシの『お昼ごはん大賞』を選んでみて」

 30分後。「真と親友の早乙女くんがファミレスでテスト勉強をしながらドリアを食べる」「真と同級生の唱子が水族館デート。お昼は唱子が早起きして作ったお弁当」など、青春胸きゅんランチ物語が出そろった。そして、参加者全員の投票で、小学生と中1の班の「真のお母さんお手製カラフル弁当」がグランプリに輝いた。

 その日、昼に帰宅した真は、母が作っておいてくれた弁当を食べる。サラダ、プチトマト、卵焼き……。さまざまな彩りのパレットのようなお弁当。絵が得意な真はこれを描こうと思い立つ。テーマは「カラフル」。僕ら家族だけの色を見つけ出そう、と――。

 「ステキ!」と森さん。「真の母親に対する思いの変化、成長など、小説の先に広がる物語がカラフルな映像として見えた」

 参加者の中には、小説執筆に挑戦している人も少なくない。創作のコツや秘訣(ひけつ)を問われた森さんは、こんなエールを送った。

 「書くことも大切だけど、実はたくさん読むこと、そして、たくさん生きることが、物語を引き寄せる。だからこそ、遊びやスポーツ、勉強と、10代の今しかできないことを思いっきり楽しんで」

 (ライター・中津海麻子 写真家・御堂義乗)

杉浦雄太さん(中1)

「高校時代にアルバイトを15もした、という森さんのお話に驚きました」

川村すみれさん(高1)

「本好き同士の充実した時間。色んなとらえ方があり新鮮でした」

森絵都さんの著書紹介
『カラフル』
出版社:
文春文庫
価格:
¥536(税込)

『DIVE !!(上・下)』
出版社:
角川文庫
価格:
各¥580(税込)

『宇宙のみなしご』
出版社:
角川文庫
価格:
¥460(税込)

『ラン』
出版社:
角川文庫
価格:
¥620(税込)

『永遠の出口』
出版社:
集英社文庫
価格:
¥580(税込)