朝日新聞社 どくしょ応援団朝日新聞社 どくしょ応援団
朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2014

 

ほら学校に妖怪がいるよ
 児童文学作家・富安陽子さん@玉川村立須釜小(福島)


 授業が長いなと思って時計を見た時、針が進んでいないとしたら妖怪「時計遅らせ」のせい。鉛筆の芯が折れて書けないのは「芯折りスネーク」の仕業。体育のマットで転ぶのは「つっかかり」が化けているから……。どれもこれも生徒たちが考えた「学校にいるかもしれない?!妖怪」だ。

 児童文学作家の富安陽子さんの作品には、やまんばや一つ目小僧など、昔話の妖怪が身近な存在として登場する。そんな富安さんが出した宿題が、「学校に妖怪がいるとしたらどんな妖怪?」だった。

 ユニークな妖怪が集まったところで、「須釜小を舞台にお話を作ってみましょう」と富安さん。即興で物語を考える。「学校のいいところを教えて」

 あちこちから手が挙がり「『暗唱』という勉強があります」「池に大きなドジョウがいる」「さるなしの木があるよ」。さるなしとは地域特産の果物だ。

 「それはどんなの?」と尋ねながら、富安さんはお話作りを続ける。「俳句や詩を覚える『暗唱』という勉強もありますが、ほかの学校といちばん違うのはずいぶん前から妖怪が住みついていることでした」

 息をのむ生徒たち。「校庭には『人食いさるなし』が、ヒーターの裏には人を不幸にする『ふコウモリ』が!」。自分の妖怪が登場するたび歓声があがる。

 でも、学校にそんなに妖怪がいて大丈夫?

 「霧の深い朝、校長先生は言いました。おはニョロございます!」。笑いが弾ける。校長先生と思っていたのは妖怪の親玉「ドジョウ坊主」で、「須釜小は居心地がいい。追い出されないためにも仲良く」と、にらみをきかせていたのだ。

 「そんなはずない、と思い込んでいるとつまらないし、発見もない。不思議のタネを見逃さないでね」と富安さん。今だってほら、窓の外に――。何だか景色が違って見えてきた。

(ライター・安里麻理子 写真家・白谷達也)

▲このページのTOPへ



★ 授業を終えて ★

 ◆ 増子洋久斗(みくと)さん
 「大好きな妖怪が学校の話になって面白かった!」

 ◆ 山澤優和(ゆうな)さん(4年)
 「村の名物を妖怪にしたくて考えました。みんなの妖怪が全部、話に出てきたのもすごかったです」


 ◆ 富安さん
 「お話を作る時は、どんな場所で起きていることなのかを考えることも大切です。今日は皆さんが教えてくれた学校の特徴や妖怪が個性的で、想像がふくらみました」


 【玉川村立須釜小(福島)】
 福島県玉川村、全校151人、後藤さとみ校長。3、4年生の25人が授業を受けた。担当は目黒輝子先生。

 


★ 富安陽子さんの本 ★

それいけ!ぼっこくん

『それいけ!ぼっこくん』        
[出版社] 偕成社
[価 格] 1,080円

シノダ! 都ギツネの宝

『シノダ! 都ギツネの宝』
[出版社] 偕成社
[価 格] 1,404円

アヤカシさん

『アヤカシさん』
[出版社] 福音館書店社
[価 格] 1,512円

ムジナ探偵局 火の玉合戦

『ムジナ探偵局 火の玉合戦』
[出版社] 童心社
[価 格] 1,188円

妖怪きょうだい学校へ行く

『妖怪きょうだい学校へ行く』
[出版社] 理論社
[価 格] 1,404円

 

富安陽子 (児童文学作家)

富安陽子 (児童文学作家)


とみやす・ようこ 1959年生まれ。
やまんばや妖怪などが登場するファンタジー作品で人気。『空へつづく神話』で産経児童出版文化賞。
人間のパパとキツネのママと子どもたちの物語「シノダ!」などシリーズ作も多い。

オーサービジット TOPへ戻る

 

▲このページのTOPへ


 

朝日新聞 インフォメーション 通常版 ベルマーク版