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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2014

 

『小説とは「出さない手紙」』
 作家・辻村深月さん@和歌山県立橋本高


 図書室に入った作家の辻村深月さんは、「わぁ」と歓声を上げた。あちこちに辻村さんの小説に登場する「ドラえもん」のイラストが飾られていたからだ。語る言葉にもつい熱が入る。

 授業には「身近な誰かに手紙を書いて返事をもらうこと」という宿題が出ていた。生徒たちの手紙には友人や親、先輩などとの親密な「2人だけのやりとり」がつづられている。

 「(宿題だから)誰かが読むと思うと書きにくかった」という女子生徒の感想に、「じゃ、今度は同じ相手に、『出さない』手紙を書いてみよう」。

 相手に見せないとなると、紡ぐ言葉は変わるのだろうか? それを実感してもらおうというのだ。

 本好きの生徒たちは、戸惑うことなくペンを走らせる。ほとんどが、あっという間に書き上げた。

 なぜ、手紙を書き分けさせたのか。「小説を書くことは特定の相手に出さない手紙を書くような感覚」との持論を持つ「辻村流・書くだいご味」を伝えたかったからだ。

 「私もデビュー当時は背伸びして難しく書いていたけれど、小説も小論文も、読む人に思いが伝わるように自分の言葉で書けばいいと思うようになりました」

 憧れの作家も悩んだ時期があったんだ――進路を考える生徒たちの目は真剣そのもの。話は尽きない。

 最後に、辻村さんはこうみんなに語りかけた。

 「夢だと構えると大げさになる。身近なことをクリアしていけば、なりたい自分になれるものですよ」

(ライター・吉岡秀子 写真家・白谷達也)

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★ 授業を終えて ★

 ◆ 堀西美那さん(2年)
 「好きなことを貫いていいんだ、と勇気をもらいました」

 ◆ 渡部小太郎さん(3年)
 「人の心の深みを描く辻村作品の大ファン。最高の一日になりました」


 ◆ 辻村さん
 「手紙での内輪話など、10代の今しか書けないキラキラした言葉を大事にしてほしいと思います」


 【和歌山県立橋本高】
 和歌山県橋本市、全校587人、土肥二郎校長。授業を受けたのは1~3年の図書部員17人と有志11人。担当は平瀬恵子先生。

 


★ 辻村深月さんの本 ★

ハケンアニメ!

『ハケンアニメ!』        
[出版社] マガジンハウス
[価 格] 1,728円

島はぼくらと

『島はぼくらと』
[出版社] 講談社
[価 格] 1,620円


家族シアター

『家族シアター』         
[出版社] 講談社
[価 格] 1,620円

ツナグ

『ツナグ』
[出版社] 新潮文庫
[価 格] 680円


オーダーメイド殺人クラブ

『オーダーメイド殺人クラブ』         
[出版社] 集英社
[価 格] 1,728円

 

 

作家 辻村深月さん

辻村深月 (作家)


つじむら・みづき 1980年生まれ。
24歳でデビュー。若者の閉塞(へいそく)感を描いた青春小説とミステリーの融合で共感を集める。
2011年に『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、12年に『鍵のない夢を見る』で直木賞。

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