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本田由紀

仕事で困る前に 本田由紀

 学生や生徒でいられる時期はすぐ通り過ぎて、その先には仕事の世界が待っています。でも、ちょっと辺りを見回せば、景気や雇用に関する暗いニュースばかりで、この社会や自分はどうなっちゃうんだろうって、怖くなってしまいますよね。不安や恐怖だけだと身動きとれなくなるし、逆に自分だけは大丈夫なはずって、カラ元気を出して突っ張ってみても、あれよあれよと言う間に現実に裏切られてしまうかもしれません。

 だったら、備えあれば憂いなしってことで、仕事で困ったらどうしたらいいかを超わかりやすく書いてある本から……。

 POSSEという若い人メーンのNPOの代表である今野晴貴さんが書いた『マジで使える労働法』(イースト・プレス)は、タイトルそのまんま、職場でサービス残業やパワハラ・セクハラがひどかったり、辞めることを促されたりしたときの対処策を、具体的かつコミカルに教えてくれます。しかも、「ひどい目にあったときに負けないことが、社会全体をよくしていくんだ」っていう考え方の太い芯が一本通っています。

 そうして背筋が伸びたところで、他のみんなはどんな働き方をしているのか、その現実も見つめておきたくなります。『ノンエリート青年の社会空間』(中西新太郎・高山智樹編、大月書店)という本では、自転車メッセンジャー、引っ越し作業員、製造請負労働者、専門学校卒業者、高卒女性といった人々の働き方や暮らし方、気持ちが克明に描き出されています。彼らは自分たちなりに「なんとかやってゆく」世界を作り出していて、その世界で重要なのは、職場や地元での仲間や家族の存在であることがわかります。

 それにしても、どうしてこんなに仕事の世界が荒れてしまってるんだろう、と思ったら、hamachanこと濱口桂一郎さんの『新しい労働社会』(岩波新書)がお薦めです。日本型雇用の本質とは何か、それがどうしてうまくいかなくなっているのか、じゃあどんな仕組みが必要なのか、説明してくれています。「産業民主主義」「集団的合意形成」って、言葉は難しいけど、要するに、仲間と支えあいながらきちんと話し合うことが大事っていうことですから、上の2冊とやっぱり重なってくるところがあるんです。

 スピッツの「君は太陽」という歌の中に、「理想の世界じゃないけど大丈夫そうなんで」という歌詞があります。ほんとにそうだといいし、そうなるようにみんなでしていかなきゃね。

 (東京大学教授〈教育社会学〉)

『マジで使える労働法』
著者:
今野晴貴
出版社:
イースト・プレス
価格:
¥998(税込)
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『ノンエリート青年の社会空間』
著者:
中西新太郎
編:
高山智樹
出版社:
大月書店
価格:
¥3,360(税込)
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『新しい労働社会』
著者:
濱口桂一郎
出版社:
岩波書店
価格:
¥735(税込)
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