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本田由紀

「男子たるもの」と力まずに 本田由紀

 草食系男子とか弁当男子とかオトメンとかいろいろ言われている昨今。「男らしい男」や「女らしい女」はあまりに型どおりでつまんない、と日頃から思っている私には大歓迎です。でもやっぱり親も「あんたは男なんだから……」とか言うし、かといって「親父(おやじ)みたいな生き方はしたくないしできないし、どうしよう」と思っている男の子にお薦めの本をいくつか。もちろん女の子だって読んでおいて損はないです。

 社会学者の渋谷知美さんは、『平成オトコ塾』(筑摩書房)の中で、「身に覚えのない罰ゲーム」のような人生を少しでもうまくやりすごすために、「男の友情」を大事にすること、女性を一方的に守るだけでなく互いに守り・守られる関係になること、モテなくてもかまわないこと、自分の身体を肯定することなど、実践的なアドバイスをしてくれています。「男子たるもの……」って肩肘(かたひじ)はらなくても、ただの「人間」として他者(男女問わず)に向き合っていけばいいのよ、って渋谷さんは言ってるんだと思います。

 イメージがわきにくいようだったら、伊坂幸太郎さんの小説『重力ピエロ』(新潮文庫)を参考にしてみてください。登場人物のひとりであるお父さんの人物像は素敵(すてき)です。彼は昔ながらの「男っぽい」人では全然ありませんが、その毅然(きぜん)としたやさしさは、まさに「人間」としての魅力をたたえています。

 ただ、「もう少し男なりの楽しみってあるんじゃないの?」なんて思う人は、『「男らしさ」の快楽』(宮台真司・辻泉・岡井崇之編、勁草書房)を開いてみましょう。この本では、自己(身体性)・集団(関係性)・社会(超越性)という三次元アプローチを土台として、格闘技、ホストクラブ、オーディオマニア、鉄ちゃん、ロックなど、男っぽいサブカルチャーに興じる男たちの生態が描かれています。終章での提案は、「自分らしさ」にこだわって「イタイ」感じになっちゃうより、とりあえず既存の「男らしい」ふるまいに頼ってもいいから、そうして居場所を作って生き延びつつ、生き方を現代風に微調整していってね、ということです(抽象的ですが)。

 でもね、私自身は、真実は日常の細部に宿ると思ってます。ひとまず、安い食材でおいしい料理が作れるようになれたら、あるいはこまかい身の回りのことをさくさく片づけられたら、そして鎧(よろい)を脱いで世の現実にも目を向けられたら、オトコにも明るい未来がある……かも。

 (東京大学教授〈教育社会学〉)

『平成オトコ塾』
著者:
渋谷知美
出版社:
筑摩書房
価格:
¥1,470(税込)
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『重力ピエロ』
著者:
伊阪幸太郎
出版社:
新潮文庫
価格:
¥660(税込)
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『「男らしさ」の快楽』
編:
宮台真司・辻泉・岡井崇之
出版社:
勁草書房
価格:
¥2,940(税込)
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