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池田清彦

理科、食わず嫌いの前に 池田清彦

 若者の理科離れが指摘されて久しいが、原因のひとつに食わず嫌いということもあるんじゃないかと思う。将来、文科系に進むにしても、若い時に理科的な考えに親しんでおくのは、思考の幅を広げる上でとても役に立つ。

 面白い科学読み物はたくさん出版されていて、最近もPHPサイエンス・ワールド新書と題するシリーズが刊行された。このシリーズには楽しい本がいくつもあるが、易しく読めてしかも奥が深い一冊として、石黒浩さんと池谷瑠絵さんの『ロボットは涙を流すか 映画と現実の狭間(はざま)』を紹介したい。

 ロボットが出てくる映画をだしにしながら、現実のロボットはすでに映画を超えていることを語っている。人間、見てくれより中身が大事だと主張する人は多いが、ロボットは脳もなければ、内臓もない。しかし、人間そっくりの外観をしていて、人間のしぐさをまねたロボットを見ると、我々はそこに人間らしさを感じてしまうようだ。

 人間らしさとは何かを追求するためには、だから、生身の人間を調べる他に、ロボットを作ってみて、どんなロボットが一番人間らしく見えるかを調べるやり方もある、という視点は新鮮だ。そのうち人間より人間らしいロボットが出現して、ロボットに恋する人が現れるかも……。

 ロボットを作って人間らしさを調べるといった実験的手法の他に、科学には観察も欠かせない。安田守さんの『イモムシハンドブック』(文一総合出版)は、イモムシすなわちチョウやガの幼虫が、これでもかというほど並んでいる本で、虫嫌いの人が見たら卒倒しそうだ。でも、素直な目でよく見てください。イモムシはとってもかわいい。ヒメジャノメのネコのような顔。ピエロのようなアオバセセリ。安田さんのイモムシへの愛があふれている。ページを繰っているうちに、きっとあなたもイモムシが好きになる。

 実験や観察も大切だが、科学の最終目標は理論作りだ。インフォペディアという情報サーチ集団が編集した『こんなこともまだ分かっていない「科学の謎」71』(光文社知恵の森文庫)は、まだ理論化されていない現象がたくさんあるぞ、という本だ。「遺伝子はまだ、まったく謎だらけ」といったまともなものから、「本屋に行くとトイレに生きたくなる」といった怪しげなものまで71の謎はさまざまだが、好奇心が刺激されることは確か。あなたもいつか謎解きに挑戦してみますか。

 (早稲田大学教授 生物学)

『ロボットは涙を流すか 映画と現実の狭間』
共著:
石黒浩・池谷瑠絵
出版社:
PHP
価格:
¥840(税込)
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『イモムシハンドブック』
著者:
安田守
出版社:
文一総合出版
価格:
¥1,470(税込)
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『こんなこともまだ分かっていない「科学の謎」71』
編:
インフォぺディア
出版社:
光文社
価格:
¥680(税込)
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