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佐藤優

論理的に説明できる力 佐藤優

 夏休みにはいろいろな宿題が出ます。その関係で読書をしなくてはならなくなります。

 「とりあえず宿題を仕上げてしまえばいい」という気持ちで本を読んでもほんとうの力はつきません。この機会に深く考えながら読書する習慣をつけましょう。そのためによい本を3冊選びました。

 まず、加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社)です。東京大学文学部教授の加藤先生による栄光学園中学・高校(神奈川県鎌倉市)の生徒たちへの、5日間の特別講義の記録を本にまとめたものです。

 戦前の日本の優秀な官僚、軍人、政治家が、客観的に考えれば勝つことが出来ないはずの戦争にどうして突入したのか――という難しい問題について、生徒に深く考えさせるように講義を進めています。

 加藤先生は、「歴史の試験は論述で書かせなければだめ、論理的に説明できる力は暗記ではないのだ」と強調します。私も賛成です。

 ところで、本をたくさん読むだけでは、論理的に説明できる力がつくとは限りません。

 論理力をつけるために、出口汪(ひろし)『NEW出口現代文講義の実況中継(1)〜(3)』(語学春秋社)と取り組むことを勧めます。

 この本は大学受験生を対象に書かれていますが、中学生でも少し背伸びをすれば読むことができます。社会人にとっても大変有益です。

 出口先生は、「現代文で必要なのは、九割が論理的思考能力です。覚えるような要素というのは、ほとんどないんです。もちろん漢字や、あるいは文学史など、少しはあるかもしれません。でもたとえ、知ってなくても、そんなに痛くない。なぜかと言ったら、残り九割の読解力の問題と直接関係がないからです。たとえ、漢字が書けなくたって、文章は読めますよね。そういう点では、例えば、数学の公式を知らないとか、あるいは単語を知らなくて英文を読めないというのとはだいぶ違うんだね。だから、現代文はほとんど論理的な思考能力を問う教科と言ってもいいのです」と述べますが、その通りです。

 出口先生の本から深く考えるための技法を身につけることができます。

 こうして深く考える技法を身につければ、古典の必読書で難解な論理構成で知られる、マックス・ヴェーバー『職業としての政治』(脇圭平訳、岩波文庫)を自分の力で読み解くことができるようになります。

 (作家・元外務省主任分析官)

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
著者:
加藤陽子
出版社:
朝日出版社
価格:
¥1,785(税込)
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『NEW出口現代文講義の実況中継(1)』
著者:
出口汪
出版社:
語学春秋社
価格:
¥1,155(税込)
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『職業としての政治』
著者:
マックス・ヴェーバー
出版社:
岩波文庫
価格:
¥483(税込)
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