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池田清彦

感染症に負けないために 池田清彦

 今回は病気についての本の紹介だ。病気といってもがんや心臓病ではなく、感染症やアレルギーの話。人類は長い間感染症に悩まされてきた。前世紀に抗生物質が次々と発見され、細菌性の感染症はもはや過去の病気だと考えられた時期もあった。しかし、抗生物質の効かない耐性菌の出現や新しいウイルスの脅威は、人類と感染症の闘いには終わりがないことを示した。

 まず最初は岩田健太郎さんの『予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える』(光文社新書)。感染症になってから治療するよりも、予防ができればそれに越したことはない。そこでワクチンという話になる。しかしワクチンには副作用がある。予防というメリットと副作用というデメリットをどう考えればよいのか。それが本書のテーマである。著者はワクチンの成功例と失敗例を紹介しながら、メリットがデメリットを上回る時は、ワクチン接種が有効であることをていねいに解説する。

 著者によれば、日本はワクチン後進国なのだそうだ。その背景にはゼロリスク信仰があるのではないかとの指摘は鋭い。物事にはすべて二面性があり、白か黒かという単純な考えは、ワクチンに限らずこの世の複雑な事柄を解決する妨げになるとの意見に賛同したい。

 感染症で今一番恐れられているのは新型インフルエンザの流行だろう。根路銘(ねろめ)国昭さんの『新型インフルエンザの「正体」』(講談社+α新書)はスペインインフルエンザから新型インフルエンザまで、インフルエンザの変遷を解説し、併せて適切な対処法を説く。

 インフルエンザウイルスは、トリ型、ヒト型、ブタ型の3種のウイルスが遺伝子を交換して生じたものらしい。新しく出現したウイルスには既存のワクチンはあまり効かず、消毒液による空間消毒の方が有効だと著者は言う。最も心配されている高病原性のトリインフルエンザ(H5N1型)が10年以内という近未来に大流行することはあるまいとの予想が当たることを祈っている。

 感染症と並んで現代人を悩ませているのはアレルギーだ。『アレルギーの9割は腸で治る! クスリに頼らない免疫力のつくり方』(だいわ文庫)は寄生虫博士として知られる藤田紘一郎さんが、過度な清潔社会に警鐘を鳴らし、免疫力を高める生活習慣を説いたものだ。体内に棲(す)みついている細菌たちとの共生が大事だという話は、なかなか説得的だ。

(早稲田大学教授 生物学)

『予防接種は効くのか ワクチン嫌いを考える』
著者:
岩田健太郎
出版社:
光文社新書
価格:
¥777(税込)
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『新型インフルエンザの「正体」』
著者:
根路銘国昭
出版社:
講談社プラスα文庫
価格:
¥880(税込)
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『アレルギーの9割は腸で治る クスリに頼らない免疫力のつくり方』
著者:
藤田紘一郎
出版社:
だいわ文庫
価格:
¥630(税込)
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