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佐藤優

命や死の意味考える 佐藤優

 東日本大震災では一瞬のうちに多くの命が奪われてしまいました。この悲劇にどんな意味があるのでしょうか。私たちもいつか死にます。しかし、怖いので死について考えることをどうしても避けます。発想を換えて命について真剣に考えると、死に対する理解が深まります。

 日本人の命に関する考え方について知るためには、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の怪談を読むことが近道です。ハーンのお父さんはアイルランド人、お母さんはギリシャ人なので、外国人の目で日本人を観察しています。日本人が理屈でなかなか説明できないことをハーンはわかりやすく説明します。特に『小泉八雲集』(新潮文庫)に収録されている「おしどり」という短い作品が興味深い。おなかがすいた孫允(そんじょう)は沼でおしどりの雄を矢で射て料理します。その晩見た奇妙な夢のお告げに従って翌日、沼に行くと不思議な出来事を目撃します。その後、孫允はお坊さんになります。命の意味について深く考えさせる作品です。

 カトリックの井上洋治神父は浄土宗の開祖・法然について『法然 イエスの面影をしのばせる人』(筑摩書房)を書いています。法然が9歳のとき目の前でお父さんが殺され、法然に「敵をうらむな。敵討ちをするな」という遺言を残します。井上神父は「宗教を語るということは死と悲愛(アガペー)とを語るということである。死とは何か。(中略)なぜ父を殺した憎い相手を殺してはいけないのか。なぜゆるさねばならないのか。宗教のもつこれらの課題は以後、少年法然の肩に深く重くのしかかっていったに違いないのである。法然の全生涯は、これらの課題への解答の追求であった」と説明します。命について真面目に考えると、人間はいつか死ぬという事実を忘れることなく、一生懸命に生きていくことが重要だという理解に至ります。

 葦名次夫他執筆の高校の学習参考書『よくわかる倫理』(MY BEST、学研教育出版)は、過去の宗教人、哲学者たちが命について考えたことをわかりやすくまとめています。読書が好きな中学生ならば十分理解できる内容です。

 (作家・元外務省主任分析官)

『よくわかる倫理(MY BEST)』
編<:
学研教育出版
出版社:
学習研究社
価格:
¥1,890(税込)
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『法然 イエスの面影をしのばせる人』
著者:
井上洋治
出版社:
筑摩書房
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¥1,575(税込)
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『小泉八雲集』
著者:
小泉八雲
訳:
上田和夫
出版社:
新潮文庫
価格:
¥620(税込)
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