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佐藤優

「なぜ」から歴史再発見 佐藤優

 中学校や高校の歴史は、暗記科目と思われています。これでは本当の歴史の面白さをつかむことができません。歴史を再発見するためにこの3冊を読みましょう。筒井康隆『時をかける少女』(角川文庫)の主人公たちのようにタイム・リープ(時間跳躍)とテレポーテーション(身体移動)をして、過去の出来事に立ち会うことを想像しましょう。「なぜこういうことが起きたのか」という問題意識を持つと歴史の勉強が楽しくなります。

 続いて『謎とき日本近現代史』(講談社現代新書)。著者の野島博之先生は、「なぜ」という観点から歴史をわかりやすく解説します。「第一の問い 日本はなぜ植民地にならなかったか/第二の問い 武士はなぜみずからの特権を放棄したか/第三の問い 明治憲法下の内閣はなぜ短命だったか/第四の問い 戦前の政党はなぜ急成長し転落したか/第五の問い 日本はなぜワシントン体制をうけいれたか/第六の問い 井上財政はなぜ『失敗』したか/第七の問い 関東軍はなぜ暴走したか/第八の問い 天皇はなぜ戦犯にならなかったか/第九の問い 高度経済成長はなぜ持続したか/という九つの『問い』が設定されています」

 野島先生の提示した「問い」について真剣に考えることが東日本大震災で傷ついて弱くなった社会を強化し、未来の日本をつくるためにとても大切です。復興のためには国家機能を強化することが不可欠です。しかし、そのやり方を間違えると民主主義制度が崩れ、国家が国民を抑圧し、戦争を引き起こし、外国の人々にも迷惑をかけることになります。

 皆さんは若く人生の経験も限られています。ものの見方、考え方を広げるために有益なのが、歴史的出来事を題材にした優れた小説を「なぜ」という問いかけをしながら読むことです。私は中学3年生のときに五味川純平『人間の條件』(全3巻、岩波現代文庫)を読み、強い影響を受けました。この小説の「人間には人間の仲間が、いつでも、必ず、何処(どこ)かにいるものです。互(たがい)に発見し合って、手を握り合えばいいのです」という言葉がとても好きです。

 (作家・元外務省主任分析官)

『時をかける少女(新装版)』
著者:
筒井康隆
出版社:
角川文庫
価格:
¥460(税込)
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『謎とき日本近現代史』
著者:
野島博之
出版社:
講談社現代新書
価格:
¥735(税込)
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『人間の條件 上』
著者:
五味川順平
出版社:
岩波現代文庫
価格:
¥1,365(税込)
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