どくしょ応援団

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十代、こんな本に出会った

『決戦前夜』 プロサッカー選手・長谷部誠さん

長谷部誠さん

「いつか日本代表に」と夢みた

 今でこそ、僕にとって本は、試合開始2時間前まで手放せない、それくらい身近な存在になっていますが、十代のころは、ほとんど眼中になかったんです。

 何しろ、地元のスポーツ少年団に入っていた小学校時代から、部活でサッカーを続けた中学、高校時代も、僕の1日は「サッカー」「食事」「睡眠」の三拍子でほぼ完結していましたから。

 中学までは父も指導に熱心で、毎晩のように家の前でリフティングやドリブルの練習をしました。うっかり、スパイクのひもを直しながら監督の話を聞いていたら、「監督の前であの態度は何だ!」って、家に帰るとビンタだし。いやあ、厳しかった。

 とはいえ、父も僕も熱烈なサッカーファンだったから、1997年、日本代表が初めてワールドカップ本大会出場を決めた時はうれしかった! テレビの前で抱き合って喜びました。13歳の時です。

中学入学のころ。家の前で大好きだった祖父と(本人提供)

 『決戦前夜』(金子達仁著、新潮社、絶版)は、その最終予選までの軌跡を描いたノンフィクションです。父が買ってきてくれて、僕としては「初めてちゃんと読んだ本」と言えるかな。選手の素顔がかいま見られて「日本を背負うってすごい!」と、尊敬と憧れの気持ちでいっぱいになったのを覚えています。

 そういう本やテレビを通して、「僕もいつか日本代表に」と夢みたものの、周りには優秀な選手がたくさんいたし、本当に自分が同じ立場になれるとは思いもしなかった。練習や試合で叱られて、心が折れそうになった時は、「自分だけは自分を信じてやろう」と。自尊心が頼りでした。

 「心を強くするには、もっと頭を使わなければ」と、本を読むようになったのは、高校を卒業してプロになってから。なかでも、人間関係の磨き方を説いたD・カーネギーの『人を動かす』(創元社)との出会いは決定的で、それからです、人としての生き方とか人生哲学みたいな本にひかれるようになったのは。

 せわしない日常の中で、本を開いて自分だけの考えに没頭する。気になったフレーズを書きとめる。すると、落ち着くんですよ。もはや本は、友達みたいな存在です。

 (聞き手・安里麻理子 写真・吉永考宏)

◆おすすめは

 やろうと思ってもなかなかできない。そんな人には『夢をかなえるゾウ』(水野敬也著、飛鳥新社・680円)を。象の神様ガネーシャが繰り出す日々の課題をこなすだけで、いつのまにか「できる自分」に。コツコツ努力する大切さを教えられます。

 機密情報を匿名で公開するウェブサイトを取り上げ、これからの報道のあり方を示した『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』(上杉隆著、光文社新書・777円)には、ずいぶん考えさせられました。若い人はどうとらえるか。本って、頭を使わせてくれますよね。

はせべ・まこと  1984年、静岡県生まれ。独ウォルフスブルク所属。W杯南アフリカ大会から日本代表キャプテン。著書に『心を整える。』(幻冬舎)。
『人を動かす』
著者:
デール・カーネギー
出版社:
創元社
価格:
¥1,575(税込)
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『夢をかなえるゾウ』
著者:
水野敬也
出版社:
飛鳥新社
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¥680(税込)
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『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』
著者:
上杉隆
出版社:
光文社新書
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¥777(税込)
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