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池田清彦

資源の未来を考える 池田清彦

 国家の将来は、そして人類の未来もまた、食糧、エネルギー、水を確保できるかどうかにかかっている。生活に不可欠なこれらの資源を枯渇から守り、有効利用するにはどうしたらよいのだろう。

 中村靖彦『日本の食糧が危ない』(岩波新書)は長年農業問題に取り組んできた著者が、日本の農業政策、食糧自給率、環太平洋経済連携協定(TPP)などについて、その問題点を解説した好著だ。人口が増大して世界的な食糧不足が懸念される中で、国民に必要な食糧を確保するためにはどうしたらよいのか。輸入に頼るのか、それとも高齢化の進む日本農業を立て直すのか。また原発事故の後、日本の農産物の市場に逆風が吹いている今、TPPに参加するメリットはあるのか。こういう問題を考える上で、本書はよき参考書となるだろう。

 円居(えんきょ)総一『原発に頼らなくても日本は成長できる エネルギー大転換の経済学』(ダイヤモンド社)は、日本の近未来のエネルギー政策についての極めて合理的な考えを述べている。原発を止めてしまったら、電力料金が高騰して日本は潰れるという風評が流れているが、著者は緻密(ちみつ)なデータに基づき、事故がなくても、原子力発電は火力発電よりも採算性が低いことを論証している。その上でシェールガスなどの非在来型の天然ガスの採掘が容易になった今では、ウランよりも天然ガスの可採年数の方が長く、原発から火力発電への転換が現実的であると主張している。

 今のところ、水が豊富な日本では、水問題はあまり深刻には考えられていないが、世界的に見て、21世紀に最も不足する資源は水かもしれない。スティーブン・ソロモン『水が世界を支配する』(矢野真千子訳、集英社)は水を通して見た世界史とも言うべき本で、実に面白い。古代文明の栄枯盛衰も、国民国家の存亡も、いかに水を上手に利用したかにかかっていたという。21世紀の覇権を制するのは水を上手に利用するシステムを作る国だとの視点は斬新だ。日本挽回(ばんかい)のチャンスは案外ここにあるのかもしれない。

 (早稲田大学教授〈生物学〉)

『日本の食糧が危ない』
著者:
中村靖彦
出版社:
岩波新書
価格:
¥798(税込)
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『原発に頼らなくても日本は成長できる』
著者:
円居総一
出版社:
ダイヤモンド社
価格:
¥1,575(税込)
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『水が世界を支配する』
著者:
スティーブン・ソロモン
訳:
矢野真千子
出版社:
集英社
価格:
¥2,100(税込)
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