どくしょ応援団

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十代、こんな本に出会った

『COSMOS』 宇宙飛行士・山崎直子さん

山崎直子さん

宇宙への扉、大きく開いた

 小学生のころ、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」を見て憧れていた「宇宙」を、ぐっとリアルに感じさせてくれた一冊が『COSMOS』(全2巻、カール・セーガン著、木村繁訳、朝日新聞社・品切れ重版未定)でした。

 3歳違いの兄から借りたのですが、中学生だった私には難しかった。それでも飽きずにページをめくったのは、分からないなりにも惑星に降り立つような気分が楽しめたからだと思います。

 この本は天体だけでなく、地球の歴史や生命の話など、広い意味での「宇宙」を説いていた。「私も宇宙の一部なんだ」と思った瞬間、「宇宙」への扉が大きく開いた感じがしたものです。

 「宇宙飛行士」という職業を意識したのは、高校受験のころです。1986年1月、スペースシャトル・チャレンジャー号の打ち上げ事故が報道されました。悲しい結果でしたが、私の中ではこの時、宇宙への憧れが現実のものとなり、将来の夢が「宇宙の仕事」になりました。

高校入学のころ(本人提供)

 その足がかりとして、高校では理系を選択しました。なかでも好きだったのが物理です。物理で考えると、世の中のいろんな現象が、美しい法則でつながるんですよ。

 ノーベル賞物理学者、R・ファインマンが書いた『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(全2巻、大貫昌子訳、岩波現代文庫)は、その延長で読みました。

 顕微鏡をのぞいて、教科書に載っていないゾウリムシの動きに驚嘆した子ども時代。催眠術の実験台に志願し、まんまと術にかかった大学院時代……。エピソードに事欠かない人柄、幅広い興味の対象に、驚かされたのを覚えています。

 思えば高校時代、将来の夢といえば、私は「宇宙に行く」だし、同級生には「海底都市を造る」なんてツワモノもいて、壮大さにかけてはみんないい勝負だった。でも、こういう「大きな夢」を見るのが10代の特権かも。

 実際、私が行った「宇宙」は地球の表面からわずか400キロ上空で『COSMOS』が見せてくれた「宇宙」の一端に過ぎません。宇宙も世の中も広い。本には、夢を広げるヒントがありますよ。

 (聞き手・安里麻理子 写真・吉永考宏)

◆おすすめは

 三島由紀夫の『豊饒(ほうじょう)の海』は、読みごたえのある作品です。第一巻『春の雪』(新潮文庫・660円)に始まり全4巻。魂や輪廻(りんね)といった、科学の対極にあるテーマが描かれていて、人間の不思議さを感じます。

 私たちが知っていることなんて、精神世界の奥深さに比べたら、ちっぽけなものかもしれませんよ。

 『マザー・テレサ あふれる愛』(沖守弘著、講談社文庫・520円)には、「現実にひるまず立ち向かう勇気があなたにはありますか?」と、問いかけられる気がします。10代の感性でぜひ、読んでみてください。

やまざき・なおこ  1970年、千葉県生まれ。昨年4月、スペースシャトル・ディスカバリー搭乗。1児の母の飛行士として話題に。今秋、第2子出産。
『COSMOS』
著者:
カール・セーガン
出版社:
朝日新聞社出版局
価格:
¥700(税込)
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品切れ重版未定

『ご冗談でしょう、ファインマンさん』
著者:
リチャード P. ファインマン
出版社:
岩波現代文庫
価格:
¥1,155(税込)
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『春の雪―豊饒の海』
著者:
三島由紀夫
出版社:
新潮文庫
価格:
¥660(税込)
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『マザー・テレサ あふれる愛』
著者:
沖守弘
出版社:
講談社文庫
価格:
¥520(税込)
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