どくしょ応援団

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十代、こんな本に出会った

『枕草子』『大地』 ラジオパーソナリティー・小島慶子さん

小島慶子さん

時代や違い超え通じ合える

 平安時代のお姫様にあこがれる高校生でした。華道部と茶道部に所属して、人間観察が好き。そのころ夢中になったのが、清少納言の『枕草子』(岩波文庫ほか)です。

 まず、語感が面白い。「らうらうじう」とか「わななくわななく」とか、抑揚があって音楽的だし、あまり古語を知らなくても「非の打ちどころがない感じかな」「ぶるぶる震えたんだな」と想像できる。

 今でいう「ツッコミ」目線で「どこがいいのか、いやなのか、それはなぜか」をさりげなく、でも、あけすけに語っているところにも共感しました。

 「鳥は」というお話では「夜鳴くものは全部ステキ」と言いながら「ちごどものみぞさしもなき(子どもが泣くのはそうでもないけれど)」。「をかしと思ふ歌を」という書き出しは、「いいなと思う歌を紙に書いておいたら、下衆(げす)な女が見て口ずさんだ。すごく不愉快」と続く。あこがれの人の「ぶっちゃけ」話を読んでいる感じがしたものです。

 姉にすすめられて読破したのが、大作『大地』(パール・バック著、新潮文庫=全4巻=ほか)です。舞台は19世紀後半〜20世紀初頭の中国。農民から大地主になった王龍(ワンロン)と息子たちの物語です。

18歳のころ(所属事務所提供)

 千年以上も前に書かれた『枕草子』と同様、高校生だった私とはまったく異質な時代に生きた人々のお話です。なのに、すごく実感できた。「私たちはこんなにも違う。でも、こんなに通じ合える」と、ワクワクしたんです。

 同じような感覚を、私は今、ラジオの仕事に感じています。遠く離れたリスナーの方との心理的な距離が、ぐっと縮まる瞬間がある。「そんな取るに足らないことをあけすけにしゃべって、みっともない」と言われることもありますが、どんなにささいな体験であろうと、その人の「実感」には価値があると思うんです。

 「こんなこと考えるの、私だけ?」と怖くて口にしない実感を、思い切って言葉にしたら、共感してくれる人がいた。もしかすると、清少納言は『枕草子』を書きながら、そんな喜びを感じていたのかも。

 (聞き手・安里麻理子 写真・吉永考宏)

◆おすすめは

 あなたにとって「お金」は何の対価でしょう? 『この世でいちばん大事な「カネ」の話』(西原理恵子著、角川文庫・580円)は、それは働いて手にした人が決めればいいことだと説く。働く意味や世の中とのつながり方を見つめ直す機会にもなります。

 数々の昭和史を書いてきた著者が、自身の戦争体験を記した『15歳の東京大空襲』(半藤一利著、ちくまプリマー新書・819円)は、ぜひ読んでほしい一冊。誰かを支配する、個人の尊厳を踏みにじる、そういう言動には、戦争の兆しに通じるものがある。それを憎むことが、10代でもできる平和活動です。

こじま・けいこ  ラジオパーソナリティー 1972年、オーストラリア生まれ。TBSアナウンサーからフリーに。ラジオ「小島慶子キラ☆キラ」出演中。2児の母。
『枕草子』
著者:
清少納言
出版社:
岩波文庫
価格:
¥840(税込)
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『大地(1)』
著者:
パール・バック
出版社:
新潮文庫
価格:
¥620(税込)
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『この世でいちばん大事な「カネ」の話』
著者:
西原理恵子
出版社:
角川文庫
価格:
¥580(税込)
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『15歳の東京大空襲』
著者:
半藤一利
出版社:
ちくまプリマー新書
価格:
¥819(税込)
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